Amazon FSx for Windows File Serverへいこう!クライアントは気づかないレベル?!

AWS

2023.3.2

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はじめに

今回はファイルサーバーのデータをFSx for Windows File Server(以降FSx)へデータ移行した後の話を中心にしたいと思います。
「ファイルサーバーの移行」ということは、既にファイルサーバーを使った環境があり、データをFSxへ移行するだけでなく、連携するシステムやクライアントからのアクセス先がFSxへ向くことで初めて移行完了となります。

ここで言うアクセス先とは、「パス」を指します。「パス」とは PATHURI (ユーアールアイ) などと表現されることもあり、目的のフォルダやファイルの場所を特定する為のものです。URI は馴染みのない方も多いかもしれません。詳しくは触れませんが、気になる方はぜひこの機会に調べてみてください。

ドライブ割り当て
例えば上記のようにエクスプローラーを開くと、「ネットワークの場所」に共有されているフォルダを見たことあるのではないでしょうか。これになります!

「ファイルサーバーのパスから、FSxへのパスに切り替えてアクセスすればいいだけでしょう?」と思われるかもしれません。
しかし、アプリケーション内で参照されていたり、社内システム内の至る所で指定されているであろうパスや、各ユーザーが利用しているショートカット等のパス全てが影響します。そんなファイルが数百以上あったらどうでしょうか。影響範囲を洗い出し、漏れの無いよう修正をしなくてはなりません。・・・あまり考えたくありませんね。
本ブログではこの「パス」を変更せず、FSxへデータ移行が可能なのか。その為に何が必要かを検証していきます。

FSx for Windows File Serverとは

検証の前に、FSx for Windows File Serverについて簡単に説明すると、Windows Server上で動作しているマネージド型のファイルサービスです。
サービス名からある程度お察しですが、Windowsサーバーと親和性が高く、互換性もあります。またActive Directoryを使った認証認可を利用しています。
このFSxを利用する際のストレージはSSDまたはHDDが選択できます。またスループットの指定も可能なので、ある程度柔軟にスペックを決められます。またMultiAZにも対応している為、高可用性です。
FSxのMultiAZについてはskさんが記事にしてますので、こちらも参照していただけますと幸いです。
FSx for Windows File Server の Multi-AZ の可用性について

検証環境

  • Windows Server 2019
    • ドメインサーバー ★ Active Directory管理サーバー
    • ファイルサーバー
    • クライアント端末
  • FSx for Windows File Server
    • セルフマネージド(自己管理型) Microsoft ActiveDirectory を選択

補足

  • クライアント端末からファイルサーバーへアクセス可能とします。
  • FSxの作成に必要なActiveDirectryは、上記のドメインサーバーと連携しており、test.local.domain ドメインに参加しています。
  • FSxのFQDNを使ってクライアント端末からアクセスが可能な状態です。

ActiveDirectryのユーザー図

ADユーザー関係図

今回の検証環境ではFSx専用ユーザーを作成しています。

実現したいこと

FSxへ切替前

構成図_移行前

  • ohdev.txt にアクセスしたい場合
    • クライアント端末からCorp_File.test.local.domain へアクセス → ファイルサーバー を参照します

FSxへ切替後

構成図_切替後

  • ohdev.txt にアクセスしたい場合
    • CNAMEの値をファイルサーバーからFSxへ変更します
    • クライアント端末からCorp_File.test.local.domain へアクセス → FSx を参照します

ポイント

FSxのトップディレクトリをshare以外にする

FSxを作成するとデフォルトで share フォルダが作成されます。
share配下にデータを移行してしまうとパスが変わってしまう為、今回の検証に合わせて「D」フォルダを作成していきます。
AWS公式ガイド
Windowsキー + r キーから「fsmgmt.msc」と検索を行います。

私の検証環境ではFSxユーザー FSxAdmin から設定をしています。
※ このユーザーが所属しているFSxAdminG グループにはさらに下記のグループに所属している必要がありました。

FSxAdminGが所属しているグループ

別のユーザーからFSxへ切り替える場合

※ 他のユーザーから行う場合は「操作」→「別のコンピュータへ接続」→ FSxのFQDNを入力して切り替えてください。
別のコンピュータへ接続
別のコンピュータへ接続2

手順に戻ります

新規共有フォルダ作成
「共有」を右クリック →「新しい共有」

新規共有フォルダ作成2
新規共有フォルダ作成3
「参照」を押下します

新規共有フォルダ作成4
d$」を選択した状態で「新しいフォルダ―の作成」押下します

新規共有フォルダ作成5
フォルダ名を「D」にします

新規共有フォルダ作成6
新規共有フォルダ作成6デフォルト

新規共有フォルダ作成7
今回の検証では「corp-Group」に対してのみアクセス許可を設定しました

新規共有フォルダ作成8
新規共有フォルダ作成9

新規共有フォルダ作成10

「D」フォルダが作成できたことが確認できました

ファイルサーバー側とFSx側の比較

ファイルパスの比較

左側がファイルサーバー、右側がFSxです。
分かりやすくする為、それぞれのテキストファイル ohdev.txt の最下行に oldnew を付けてみました。

CNAMEの参照先をFSxにする

今回の検証環境ではファイルサーバーへアクセスする為のDNS情報 Corp_File.test.local.domain というCNAMEレコードを追加しています。
このCNAMEを ファイルサーバーからFSxへ変更します。

CNAME変更1
CNAME変更作業2
上記はファイルサーバーのFQDNです。

CNAME変更作業3
FSxのFQDNへ変更しました。

動作確認

構成図_切替後

上記のように Corp_File.test.local.domain へアクセスすることで、FSxを見に行くか確認します。

クライアント端末から確認

クライアント端末のデスクトップ上にショートカットを予め用意してます。
Corp_File.test.local.domain へアクセスをして、配下の \D\組織A\プロジェクト1 フォルダまでを開くショートカットです。

下矢印

ショートカット切替後

「プロジェクト1」フォルダに存在する ohdev.txt を開いたところ new が確認できました!

ショートカットの中身は変えずFSxへ切り替わっていることができました!!

まとめ

今回検証した検証条件は下記の通りです。

FSxへ切替前

  • CNAMEを使った名前解決で移行元ファイサーバーへアクセスしている

FSx構築

  • FSxのトップディレクトリはデフォルトで「share」フォルダが作成される
    • 移行元ファイルサーバーと同じ「パス」にする為、FSxのトップディレクトリを合わせる必要がある

FSx切替

  • CNAMEの参照先を移行元ファイルサーバーからFSxに変更する

注意点

  • IPアドレスを直接指定している場合は、名前解決を使った参照先の変更はできません

おわり

今回はファイルサーバーの移行を想定した検証を行いました。
ショートカット内部のアクセスパスは「そのまま」でFSxへ切り替えることができました。クライアント端末を操作するユーザーは意識することなくデータ移行することを目的としています。
稼働中のシステムへの影響を抑える移行案として、いつかの誰かにお役に立てれば幸いです。

がっしー

いらっしゃいませ!2015年中途入社の"がっしー"と申します。 ド素人同然で入社し、毎日が四苦八苦。 AWSサービスを始めて触った時は、ポチポチするだけで簡単にサーバが立って素直にすごーって感動したのは今でも覚えてます。今はIaCも勉強中。

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