2024 年 2 月 1 日からのAWS パブリック IPv4 アドレスに対する新しい料金体系について
2023.11.29
はじめに
本記事では、「2024 年 2 月 1 日からのパブリック IPv4 アドレスに対する新しい料金体系」に向けた案内や影響の調査方法について記述します。
記述する内容は以下の通りです。
- 2024 年 2 月 1 日からのパブリック IPv4 アドレスに対する新しい料金体系について
- Public IP Insights を使ったコスト影響の調査
- 最近の IPv6 のアップデート
要約
色々な情報をまとめてるので、初めに要約したものを述べます。
- パブリック IPv4 アドレスが2024 年 2 月 1 日から新しい料金体系に変更
- パブリック IPv4 アドレスが無料から一つあたり 3.6USD/月のコストが発生するようになる
- AWS 管理の パブリック IPv4 アドレスについても課金対象
- Public IP Insights を使って対象 パブリック IPv4 アドレス数を調査可能
コスト以外に影響はないですが、増加するコストが許容できない場合は対象パブリック IPv4 アドレスごとに対応が必要となります。
2024 年 2 月 1 日からのパブリック IPv4 アドレスに対する新しい料金体系について
AWS のお知らせで以下のようなメッセージが届いています。
[お知らせ] 2024 年 2 月 1 日からのパブリック IPv4 アドレスに対する新しい料金体系 | [Notification] New charge for public IPv4 addresses starting February 1, 2024
English follows Japanese | 英語のメッセージは日本語の後にございます
いつもお世話になっております。
2023 年 7 月 28 日、AWS はパブリック IPv4 アドレスに対する新しい料金体系を、2024 年 2 月 1 日から導入することを発表しました。[1]
使用状況の詳細については、AWS コストと使用状況レポートをご覧ください。パブリック IPv4 アドレスの使用を監視、分析、監査するには、Public IP Insights [2] をご覧ください。
パブリック IPv4 アドレスの使用を最適化する方法については、ブログ「Identify and Optimize Public IPv4 Address Usage on AWS」[3] もご覧ください。
パブリック IPv4 アドレスの料金の詳細については、VPC 料金ページ [4] をご覧ください。
ご質問やご不明な点がある場合は、AWS サポート [5] にお問い合わせください。
[1] https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/new-aws-public-ipv4-address-charge-public-ip-insights/
[2] https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2023/07/aws-public-ip-insights-vpc-ip-address-manager/
[3] https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/identify-and-optimize-public-ipv4-address-usage-on-aws/
[4] https://aws.amazon.com/jp/vpc/pricing/
[5] https://aws.amazon.com/support
昨今のIPv4の状況を踏まえて、AWSではパブリック IPv4 アドレスに対して、新しい料金体系をAWSは発表しました。
料金体系一覧をまとめたのが以下の表です。
パブリック IP アドレスのタイプ | 現在の料金/時間 (USD) | 新料金/時間 (USD) (2024 年 2 月 1 日より適用) |
---|---|---|
VPC 内のリソース、Amazon Global Accelerator、AWS Site-to-Site VPN トンネルに割り当てられた、 使用中のパブリック IPv4 アドレス(AWS が提供するパブリック IPv4 アドレスおよび Elastic IP アドレスを含む) |
無料 | $0.005 |
起動中の EC2 インスタンスに割り当てられた追加(セカンダリ)の Elastic IP アドレス | $0.005 | $0.005 |
アカウント内の未割り当ての Elastic IP アドレス | $0.005 | $0.005 |
2024 年 2 月 1 日からは、「BYOIP アドレス」以外のパブリック IPv4 アドレスにはコストが発生すると認識しておくほうが良いです。
注意点としては、サービス管理のパブリック IPv4 アドレスも課金対象となる点です。
以下は、パブリック IPv4 アドレスを使用できる一般的な AWS サービスのリストを抜粋したものです。
- Elastic Load Balancing
- Amazon EC2
- Amazon RDS
「サービス管理のパブリック IPv4 アドレス」が適用されるすべてのサービス一覧については以下ドキュメントをご覧ください。
What is Amazon VPC? – Amazon Virtual Private Cloud
Public IP Insights を使った調査
この新しい料金体系のお知らせに合わせて、「Public IP Insights」という新しい IPAM の機能がリリースされています。
Public IP Insights により、新しい料金体系になった場合どれぐらいのパブリック IPv4 アドレスが対象になるのかが簡単にわかります。
Public IP Insights は Amazon VPC IP アドレスマネージャー (IPAM) の機能の 1 つで、すべてのパブリック IPv4 アドレスの統合ビューを提供します。これにより、AWS アカウントにおいて AWS サービス全体で使用されているパブリック IPv4 アドレスを簡単に監視、分析、監査できるようになります。
AWS で VPC IP アドレスマネージャーの新機能である Public IP Insights を発表
Public IP Insights の有効化
リリース当初は、設定もせず使えましたが、現在(2023 年 11 月 26 日)は IPAM の有効化が必要になります。
なお、以降の手順は弊社リセール環境下のアカウントで行った結果のため、表示内容やエラーメッセージ、手順が異なる場合がございますのでご注意下さい。
概要手順は以下の通りです。
- 「Amazon VPC IP Address Manager」検索
- IPAM を作成
無料利用枠で使うことにより、Public IP Insights 使用に伴うコストは発生しません。
「Amazon VPC IP Address Manager」検索
まずは、「Amazon VPC IP Address Manager」を検索します。
注意としては、VPC とは違うサービス画面になっていることです。
IPAM を作成
IPAM がない場合は作成します。
データレプリケーションを許可します。
今回は、簡単な分析にしか使用しないため、「無料利用枠」を選択します。
運用リージョンで任意のリージョンを追加できます。
作成が完了したら、しばらく待ちます。
検証環境では、10分ほど待機すればグラフが表示されるようになりました。
Public IP Insights で分析
パブリック IP に関するインサイト(Public IP Insights)を選択します。
この画面で色々と分析できます。
パブリック IP タイプグラフで課金対象となるパブリック IPv4 アドレスの数を確認できます。
このグラフで、以下に区分されるものが課金対象となります。
- Amazon 所有 EIP
- EC2 パブリック IP
- サービスマネージド IP
他にも色々なグラフが用意されています。
一番最後に、パブリック IP アドレスの一覧表が見れます。
この表で、関連付けられている IP かどうかを判断できます。
増加費用計算
上述のPublic IP Insights の分析結果から、このアカウントでは以下の通りになってます。
- 起動中の EC2 インスタンスに割り当てられた追加 EIP:2 IP
- アカウント内の未割り当ての EIP:1 IP
2024 年 1 月 31 日以前の場合
2024 年 1 月 31 日以前、3つのパブリック IPv4 アドレスでアカウント内の未割り当ての EIP 1 つだけに 1 時間あたり $0.005 かかります。
- 起動中の EC2 インスタンスに割り当てられた追加 EIP の合計使用量に対するコスト:無料
- アカウント内の未割り当ての EIP の合計使用量に対するコスト:1 IP x 720 時間(30 日) x $0.005/IP/時間 = $3.6
2024 年 2 月 1 日以降の場合
2024 年 2 月 1 日以降、これら 3 つのパブリック IPv4 アドレスを使用するには 1 時間あたり $0.005 かかります。
- 起動中の EC2 インスタンスに割り当てられた追加 EIP の合計使用量に対するコスト:2 IP x 720 時間(30 日) x $0.005/IP/時間 = $7.2
- アカウント内の未割り当ての EIP の合計使用量に対するコスト:1 IP x 720 時間(30 日) x $0.005/IP/時間 = $3.6
IPv6 の情報
今後 IPv4 ではなく、IPv6 の利用が推進されるため最後に AWS が公開している IPv6 についての情報をご紹介します。
最近の IPv6 のアップデート
以下サイトから、AWS アップデートを見ることができます。
What’s New at AWS – Cloud Innovation & News
検索窓で「IPv6」と検索することで関連するアップデートを絞ることが可能です。
なお、その際には最新情報を見るため言語を「英語」にすることをおすすめします。
ピックアップした直近のアップデート情報
- Amazon VPC が Elastic Network Interface でプライマリ IPv6 アドレスをサポートするようになりました
- これにより、Elastic Network Interface (ENI) に関連付けられた最初の IPv6 アドレスを不変にすることができます。
- VPC とサブネットが IPv6 CIDR のより多くのサイズをサポートするようになりました
- 以前に比べてより細かい、/44 から /60 までのサイズの VPC と、/44 から /64 までの /4 刻みのサイズのサブネットを作成できるようになりました。
- AWS Lambda による VPC でのアウトバウンド接続に対するインターネット プロトコル バージョン 6 (IPv6) のサポートを発表
- Lambda 関数が IPv6 経由でデュアルスタック VPC (アウトバウンド接続) のリソースにアクセスできるようになりました。
- Application Load Balancer と Network Load Balancer が、IPv6 でアドレス指定されたインスタンスのターゲットとしての登録をサポートするようになりました。
- このリリースにより、IPv6 アドレスをターゲットとして使用してインスタンスを直接登録できるようになり、個々の IP アドレスを追跡する必要がなくなります。
AWS で IPv6 アーキテクチャ情報
以下サイトで、IPv6 をサポートする AWS サービスの一覧を確認することができます。
サービスによって、IPv6 が対応していないものもあるのでご注意下さい。
以下は、IPv6 アーキテクチャを構築する際に参考になるブログやドキュメントです。
- AWS およびハイブリッドネットワークにおけるデュアルスタック IPv6 アーキテクチャ | Amazon Web Services ブログ
- AWS およびハイブリッドネットワークにおけるデュアルスタック IPv6 アーキテクチャ – パート 2 | Amazon Web Services ブログ
- AWS 上の IPv6 – AWS 上の IPv6
また、必要に応じて IPv4 から IPv6 に移行する場合は以下ドキュメントが参考になります。
VPC を IPv4 から IPv6 に移行する – Amazon Virtual Private Cloud
参考資料
AWS におけるパブリック IPv4 アドレスの使用状況の特定と最適化 | Amazon Web Services ブログ
新着情報 – パブリック IPv4 アドレスの利用に対する新しい料金体系を発表 / Amazon VPC IP Address Manager が Public IP Insights の提供を開始 | Amazon Web Services ブログ
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Follow @twitter2021年新卒入社。インフラエンジニアです。RDBが三度の飯より好きです。 主にデータベースやAWSのサーバレスについて書く予定です。あと寒いのは苦手です。
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