新卒2年目で教育担当を務めた1年間を振り返ってみる
はじめに
こんにちは、Paseri です。
NHN テコラスへ 2024 年に新卒入社してから早いことで 2 年が経ちました。
時間の経過というものは早いもので、今年から 3 年目の社会人になります。
そんな私ですが、実は 2025 年新卒入社社員の OJT として教育担当を 1 年間務めていました。
当たり前ですが教育担当なんて初めてですし、なんならついこの間までは私が教育されている立場でした。
なので私が受けた教えを思い出しつつ、手探りの中で進めてきた 1 年間です。
この記事では、1 年間の教育スケジュールを通じて感じたことと反省点をまとめて振り返りができればと思います。
新卒入社社員について
前述の通り、2025 年に新卒社員として入社してきたメンバーです。
学生時代は IT 業界とは異なる学科にいたということで、IT 経験は無く、そして帰国子女という経歴の持ち主です。
1 年間通して困ったのが、言語の壁です。被教育者となる新卒社員のメンバーは英語が標準語になるので、調べものも英語圏の内容が多いですし、生成 AI への問い合わせが英語で、AI からの回答も英語だったのでどこを読んでその判断になったの?というくだりが度々ありました。
実は、本記事を掲載している TechBlog でもブログを執筆しています。
AWS Summit への参加や、実践提案道場のブログには私が関わっているわけです。
RENA | NHN テコラス Tech Blog | AWS、Google Cloudなどのインフラ技術ブログ
1 年間の教育カリキュラム
まず、この 1 年間でどのような教育を実施したのかを時系列で振り返ります。
4 月から 5 月中旬までは、人事部から研修を受けており私の所属するチームへ配属された 5 月から教育は開始になります。
5 月:オンボーディング開始
やはり最初は座学からスタートです。AWS の基礎と資格取得を見据えたドキュメントの読みこみから始まりました。
IT 経験が無いとなると、AWS 以前に IT 用語の部分から身に付けていく必要があります。
かくいう私も基本情報程度の知識はもっていますが、いざ他人へ説明しようとすると難しくて、図やイラストを作成したりすることも多々ありました。
AWS の基礎学習には、AWS Cloud Quest を用いました。
AWS Cloud Quest のトレーニングでは、図付き、説明付き、手順付きで AWS 初学者向けにはかなり良い教材だったと感じています。
またトレーニング用の AWS 環境も用意されており、実際にコンソールを操作できるのもよかった点です。
何もわからない状態で AWS アカウントを渡してしまうと思わぬ事故につながる恐れもあるので、それを気にせず手を動かせる環境があるのはいいですね。
参考:
AWS Cloud Quest に無料でプレイ可能な「生成 AI プラクティショナー」ロール追加 & 全ロールが日本語化されました | Amazon Web Services ブログ
6 月:WordPress 環境構築課題
ずっと座学とサンドボックスでのトレーニングでは飽きてしまうので、実際に手を動かしてチームの検証環境に WordPress サーバーを構築する課題に取り組んでもらいました。
TechBlog としても公開している内容です。(一部情報が古い内容のものは更新しています。)
この課題へ着手するときには、以下 4 つのルールを設けていました。
- AWS アカウントへログインするときは私(教育者)へ連絡をすること
- 生成 AI は使用せず、自分で調べて進行すること
- エラー等で 1 時間詰まったら連絡すること
- できる限り作業記録を取ること
少し変わった部分で言うと、生成 AI の利用は明確に禁止していました。
利用次第では効率的に学習ができるツールですが、未経験ということもありそもそも「自分で調べて解決する」という経験が無い状態で AI の回答をそのまま鵜呑みにされることを避けたかったからです。
すぐに回答が出てしまうので、答えに至るまでの考えをまとめる機会がなくなってしまうのが一番もったいないと私は考えてます。
7~8 月:疑似顧客対応開始
7 月からは、過去にあった実際の顧客対応を疑似的に再現して実施しました。
私が顧客役として相談を行い、顧客連絡から作業と回答まで実施してもらうといった内容です。
AWS の仕様の相談や、ベストプラクティスに関する質問などが主な課題です。
技術面では検証や調査を通した事実確認を行い、案件対応として顧客想定の文章などに少しずつ慣れるようフィードバックを行いました。
9 月:提案実践道場
疑似顧客対応の延長として、「AWS 実践提案道場」に挑戦してもらいました。
これは AWS が提供しているトレーニングを、社内用に複数メンバーを巻き込んで研修課題として実施したものです。
課題の記録は、本人がブログに上がっているのでよければこちらをご覧ください。
顧客の課題を汲み取り、自分で構成を考えて先輩社員へ提案するという経験からいい刺激を受けることができたのではないかと感じています。
10~12 月:依頼ベースで案件へ参入
この時期からは、少しずつ実際の案件対応へ参加するようになりました。
とはいえ初めは案件へ参加するというより、定期作業や、手順書が整備されている作業など、短期的に実施可能な依頼をこなしてもらいました。
その中でも、作業記録としてアウトプットをするように意識づけることでレビューの実施と、フィードバックにつなげていました。
1 月~:案件へ参加
年明けからは、本格的に案件へ参加し始めました。
私とセットで参加し、実際にお客様とのやり取りや、定例会への参加も行うことで、案件へ対応できるようになってきていました。
基本的には作業をお願いしつつ相談は随時受け付けて、その都度フィードバックをすることで対応するうえでの判断軸を身に付けてもらうようにしてきました。
こうしてこの 1 年間は、技術面の基礎構築から始まり、疑似的な案件対応と、短期的な作業を通して段階的に教育を実施してきました。
振り返りと反省
次はこの 1 年間での、個人的な反省と振り返りを書き連ねます。
① 教育体制について
メインの教育担当としては私が対応していましたが、私自身もまだ 2 年目という経験から他にも複数のメンバーが被教育者に関わる体制を取っていました。
これは個人的な結論ですが、メインの教育担当は 1 人に絞った方がよいと思いました。
理由は下記 3 つです。
- 教育内容の重複:他のメンバーが実施した教育の内容と進捗が追いづらく、同じ内容を教えてしまうことや、逆に説明していないなどといった漏れが出た
- 進捗管理の難しさ:メンバーごとに教え方や重視するポイントが異なるため、被教育者の理解度にばらつきが出るかつその内容を私が把握できない
- 工数管理の問題:教育担当を通さずに案件が振られることがあり、私が引いた教育スケジュールが遅れる
特に 3 番は教育が止まってしまうという場面もあり、これはかなり困りました。
もちろん、1 人で全てを担うのは負荷が高いです。
ただこの負荷を他のメンバーに理解してもらいつつ、メインの担当者が全体の進捗とスケジュール管理を担当し、他のメンバーにはサポート役として関わってもらう形が理想だったかなと感じています。
② 言語化の壁
教育を始めて最初にぶつかったのが「無意識的にやっている・理解していることを言葉にできない」という壁でした。
例えば、タスクを受けたときの初動の話です。
私はタスクを受けた際に、「内容を確認 → 必要なタスクへ分解 → 不明点を洗い出す → 工数をイメージ → タスクを整理」という流れでやっていましたが、これを言語化して伝えるのは想像以上に難しかったです。
当然、ケースごとに若干考えることは異なりますし、性格とスキルセットによっても全く考え方が変わります。
この「言語化」は技術の面でもよく直面しました。
用語として理解している内容でも、いざ他人へ説明するとなると図が無いと難しかったり、そもそも私自身もそこまでの理解が無いといったこともよくありました。
ただ、この「感覚的」にやっていたことを体系化して「言語化」するという作業は、私自身の成長にもつながったかなと思っています。
③ 課題にかかる工数試算の難しさ
被教育者へ出す、課題にかかる工数の予測はなかなか難しかったです。
今回の教育では、課題の工数見積もりをざっくり「大(1か月)」「中(2週間)」「小(3日程度)」の粒度で管理していました。
これを算出するのが難しく、余裕のある期間と余裕のない期間の差が大きくなってしまったなと感じました。
だいたい目安として、私がかかりそうな工数の 3 倍程度で見積もっていました。
ですがそれはある程度経験のある私の見積もりですし、何より他メンバーから振られるタスクのことを全く考慮に入れてなかったので、当初の提出期限から引き直すこともしばしばありました。
WordPress 構築課題の時では、「いつぐらいで終わりそう?」と聞いた際に「見当もつかない」という回答が返ってきたこともあります。
次回への改善として、以下を考えています。
- 1 つの課題を細かくして中間ゴールを設けて成果物を提出してもらう
- 中間ゴールごとにフィードバックを実施し、その際に都度スケジュールの調整を行う
- 逆に被教育者自身にスケジュールを立ててもらって、見積もりの感覚を養ってもらう
私が勝手に引いているスケジュールということもあるので、ここは他メンバーへの相談や被教育者自身に考えてもらうというのもよかったのかなと思っています。
④ 被教育者との距離感
つまるところ、コミュニケーションの取り方です。
教育担当としては、一番の相談先として困ったときに気軽に相談できる存在でいたいとは思っていました。
とはいえ、考え無しになんでも頼られてしまう存在になってはいけません。
このバランスが非常に難しかったです。
年齢が近いということもあり、距離感の取り方には悩みました。
やってしまいがちだったのが、気を使ったフォローです。
「去年私も同じとこで躓いたから大丈夫よ」「ぶっちゃけ今もちゃんと理解できてないから」といった言葉は、安心感を与えるつもりで使っていました。
しかし、被教育者には「この作業をあの人はちゃんとやっていない」という理解になってしまうことがありました。
一番よくないのは、「こう言ってたのでそのまま従いました」と考える機会を奪ってしまっていたことです。
意識してほしいポイントが伝わらず、真意とは違う受け取り方をされてしまい、共感のつもりが課題の重要性を下げてしまっていたわけです。
結果的に私にとってもよくない状況になってしまうので、これは意識的に辞めました。
⑤ 口頭コミュニケーションの落とし穴
テコラスでは、オフィスへ全日出社する制度を採用しています。
当然、被教育者と同じオフィスで業務をおこなっていたため、口頭での連絡が多くなりがちでした。
口頭でのコミュニケーションは手軽で素早いのですが、テキストなどの記録が残りません。
振り返ったときに「あれ?これ伝えたっけ?」「これについて私なんて言ったっけ?」ということがよくありました。
いざ作業を実施しようとしたときに、過去の会話内容が確認できないのは地味にストレスです。
被教育者側も同様で、口頭で伝えた内容をテキストに残す習慣がなく、認識のズレが生じることがありました。
改善策として、途中から WOL(Working Out Loud)の導入を試みました。
作業中の考えや気づきをローカルのメモ等ではなく、Slack でリアルタイムにアウトプットしてもらう手法です。
これにより、被教育者の思考プロセスが可視化され、アウトプットも Slack にあるので適宜コメントすることで間違った方向に進んでいる場合に早期修正できるようになりました。
また、都度コメントが書かれるのでテキストの記録が残りやすくふりなったように感じています。
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⑥ 作業の振り方
被教育者に作業を振る際、作業範囲を明確にしてあげるべきでした。
実際にあった例として、顧客対応の課題で「AWS に問い合わせたら終わり」と被教育者が判断し、問い合わせ後の返信内容の共有がなかったことがありました。
私の認識では「問い合わせ → 回答受領 → 内容共有 → 対応方針の相談」までが一連の流れでしたが、被教育者にはそこまで伝わっていなかったのです。
このようになってしまう原因として、当然私のコミュニケーションの問題もありますが、本人が「わからないからやってみる」という目につく作業から進めるという意識もあったと感じています。
被教育者との 1on1 では、作業を受けたときの初動として以下を伝えました。
- 作業中のタスクを止める
- 内容を全部見る
- かかりそうな工数をイメージする
- わからない内容を洗い出す
- タスクを分解する
「わからないからやってみる」ではなく、「わからないことを先に整理してから着手する」という意識を持ってもらうことが大切だったと思っています。
まとめ
本記事では 1 年間の教育担当を振り返ってみました!
教育で悩んでいた中で、先輩からとあるイギリスのことわざを教えてもらいました。
You can lead a horse to water but you can’t make it drink.
(馬を水飲み場まで連れて行くことはできるが、馬に水を飲ませることはできない。)
教育者がある程度強制したとしても、最終的にどうするかは本人次第であり、本人の意見は尊重した方がいいけど逆に聞きすぎるのもよくない。
簡単なことは強制して、難しいことは本人の意向を踏まえたうえで提案する。
そのために簡単なことから情報を与えたり得たりしながら、ゆっくり本人の意向が難しいことに向くように仕向ける。
これが教育者としての腕の見せ所だと教わりました。
相手と考え方が異なるので意見がずれるのはよくあることだと思います。
なので相手の意見から正しい部分は尊重し、齟齬のある部分は確認と訂正をして最適解に導くことが重要だと思います。
そんな感じで教育担当はめちゃめちゃ大変でしたが、私自身の成長にもつながる貴重な経験でした。
被教育者の成長を間近で見られるのは、この役割ならではのやりがいではあります。
そして、今年も新年度となり新しい新卒入社社員の方が私の所属するチームに配属されます。
そして私もまた、今年もその社員の教育を担当します。
今回の振り返りをもって、今年の活動に活かしていこうと思います!
少しでも参考になれば幸いです!
最後までお読み頂きありがとうございました!
2024年新卒入社。うどん好きな初心者クラウドエンジニア。
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