「AWS クラウドを活用したコンテンツプロダクションセミナー」に参加しました!!

AWS

2023.9.26

Topics

1. はじめに

2023/9/21(木)にオンラインで開催された「AWS クラウドを活用したコンテンツプロダクションセミナー」に参加してきました!
個人的に、メディア×クラウドについてはとても興味がありましたので、かなり楽しみにしていたセッションでした。
参考:https://aws.amazon.com/jp/media/
インフラに関わるエンジニアとして、ビジネスサイドの話を聞けてかなり視野が広がったのと、気になるサービスが増えたのでご紹介できればと思います!
※本記事は、詳細なセッションの内容をご紹介するものではございません。

2. セッション概要

映像コンテンツの制作に関わる企業の実際の取り組みと最新の事例をご紹介
クリエイティブなコンテンツの制作環境においてクラウドの存在感は大きくなってきており、多くの会社様や個人製作者様がクラウドストレージやクラウドレンダリング、クラウドワークステーションといったAWSのクラウドサービスを導入、もしくは検討されています。本セミナーでは実際にAWSのクラウドサービスを活用してコンテンツ制作を行っている企業様をお招きして、具体的な活用の事例や導入にあたって気を付けるべきこと等について解説頂きます。また、昨今大きな話題となっている生成系AIのプロダクションへの活用をはじめとした、クラウドでのコンテンツ制作を取り巻く最新の情報をわかりやすくお伝えいたします。
引用:AWS クラウドを活用したコンテンツプロダクションセミナー

3. セッション

それでは、早速各セッションについて簡単にご紹介させていただきます。

(1) クラウド上でUnreal Engine5を使用したリアルタイムグラフィックス制作とバーチャルプロダクションでのクラウド活用

スピーカー: 株式会社スタジオブロス チーフコンテンツエンジニア 上津原 一利 様

こちらのセッションでは、映像コンテンツ制作においてなぜCloudが活用されるのか、またどういったサービスを利用するのかについて説明されていました。
特に「作業コスト削減」という文脈でのお話が多かった印象です。
映像コンテンツ制作では「レンダリング」という作業が行われますが、そのレンダリングにかかる時間を削減するためクラウドリソースを利用した並列レンダリングを実装した例や、映像作成基盤(映像処理など)をクラウド上に構築することで作業用の機材を撮影現場に持ちこむコストや設営の作業コストが削減された例などのご紹介でした。

お話しいただいた事例やユースケースは、コンテンツ制作の現場に携わる方しか知らないようなコストがかかるポイントや改善したい部分を知るきっかけになり、自身の視野を広げることが出来ました。

(2) ポストプロダクションでのクラウド使用の取り組みと事例紹介

スピーカー: 株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス 技術部 シニアテクニカルディレクター 平野 翼 様

こちらのセッションでは、MovieLabs様から出されている「The Evolution of Media Creation」というホワイトペーパーで語られている下記3つのポイントを満たすためにどういった工夫をしたか、という内容のお話でした。

1. All assets are created or ingested straight into the cloud and do not need to be moved.
2. Applications come to the media.
3. Workflows are designed around real-time iteration and feedback.
引用:“The Evolution of Media Creation”

「荻窪アニメーションハウス」というアニメ専用編集スタジオを作るにあたり、制作環境をクラウド化するためにどういった取り組みを行ったのか、どんな苦労があったのかなどのお話でした。
https://www.imagica-ems.co.jp/service/animation/
https://www.youtube.com/watch?v=G–ctj7wuzw

この施設ではアニメや映像編集ならではのカラーグレーディング(色調調整)作業環境をクラウド環境で実現しており、それの使用感などのフィードバックを現場の方にいただけたのがとても勉強になりました。
特に、1秒弱程度の映像表示の遅延があることで、カラーグレーディング作業の時に仕上がりを確認するまでの時間がかかり、制作に影響が出ているというお話はとても興味深かったです。

クラウド化することにより大きなメリット(コンテンツの共有やリソースの柔軟さ、レンダリングスピードなど)がある一方、利用するフェーズによっては、懸念点が出てくることが分かり、とても勉強になりました。
この部分は一部オンプレ(もしくはローカル端末)で実施する、などの利用者を考慮した設計というのが必要なんですね。

(3) AWSクラウドを使用したGenerative AIの取り組みと可能性について

スピーカー:AWS インタストリー事業開発マネージャー (メディア & エンターテインメント) 山口 賢人 様

こちらのセッションでは、Generative AIがコンテンツ制作の現場において、どのように価値を発揮するのかについて様々なデモを用いてご説明されていました。
学生時代に画像処理関連の研究室(ゼミ)にいたこともあり、超解像とスローモーション生成の2つはAIが効果を発揮しそうだなと納得感もあり、非常に興味がわきました。
超解像とは、動画や静止画の解像度を上げる画像処理技術で、画像のピクセルの配置パターンなどを学習し、解像度を上げた場合この部分は何色になりそうかなどを判別していく処理が実現できます。
やり方は様々ありますが、記憶があいまいなのでここまでの解説とします。。

スローモーション生成は、動画のフレームレート(1秒に何枚写真撮るのみたいな)を増やしていく事で実現できます。
つまり、細切れにしたフレーム間がどういうシーンになりそうかを予測する処理が必要となります。ここにAIが活用できるということだと思います。

生成系AIのビジネス的なユースケースについては、様々あるため、多くの事例をインプットしてみたいなと思いました!

4. 登場したサービスの中で気になったものをご紹介

ここまでは、セッションに対する感想などを述べましたが、ここから先はセッションで紹介されていたサービスについても触れていきたいと思います!!

(1) AWS Thinkbox Deadline

レンダーファーム(レンダリングに使用する多数のコンピューターのまとまり)の構築とスケールをサポートするサービスです。
参考:https://aws.amazon.com/jp/thinkbox-deadline/

コンテンツ制作をクラウド化する最大のメリットの1つである、レンダリング用コンピューティングリソースの調達が簡単にできることを実現するサービスがこれです。レンダーファームに利用するイメージを自身でカスタマイズ可能な部分も非常に魅力的だなと感じました。

(2) NICE DCV

NICE DCV は、さまざまなネットワーク条件で、クラウドやデータセンターからデバイスにリモートデスクトップおよびアプリケーションストリーミングを配信するセキュアな方法を提供する高性能のリモートディスプレイプロトコルです。
引用:https://aws.amazon.com/jp/hpc/dcv/

クラウド上に構築されたコンテンツ制作環境への接続方法として、活用されているケースが多そうです。一般的なリモートデスクトップ作業よりも、接続の安定性やパフォーマンスが仕事の質に直結するコンテンツ制作業界では、こういったサービス活用が積極的なようです。
EC2でNICE DCVを利用するための追加料金がないという部分もとても良いですね!

(3) Amazon Bedrock

Amazon Bedrock は、Amazon や主要な AI スタートアップ企業が提供する基盤モデル (FM) を API を通じて利用できるようにする完全マネージド型サービスです。そのため、さまざまな FM から選択して、ユースケースに最も適したモデルを見つけることができます。Amazon Bedrock のサーバーレスエクスペリエンスにより、すぐに FM を開始したり、FM を簡単に試したり、独自のデータを使用して FM をプライベートにカスタマイズしたり、AWS のツールや機能を使用して FM をアプリケーションにシームレスに統合してデプロイしたりできます。Amazon Bedrock のエージェントはフルマネージド型で、デベロッパーは独自の知識源に基づいて最新の回答を提供し、幅広いユースケースのタスクを完了できる生成系 AI アプリケーションを簡単に作成できます。
引用:https://aws.amazon.com/jp/bedrock/

セミナー内のデモでは、スポーツの映像から取得したデータをAmazon Bedrockを使って基盤モデルに投入して、生成処理を実行していました。
「AIの民主化」を推進するために、簡単な基盤モデルの構築を実現しているこのサービスもとても魅力的で興味を惹かれました。

(4) 利用するインスタンスタイプ(g5)

制作環境では、「Unreal Engine」などの制作ツールを動作させたり、グラフィックを大量に使用する必要があるため、適した高性能なコンピューティングリソースを利用する必要があります。
セミナーの中ではG5インスタンスなどのG系のインスタンスを活用するケースが多かったです。
t3などの他インスタンスと比べるとコストが高いため、利用時間による稼働コントロールや購入方法(RIやSavings Plans)の検討が必要かもしれません。

5. メディア制作業界の未来

メディア制作業界の10年間のビジョンがまとめられたホワイトペーパーが無料で見られるので、見てみるとおもしろいかもしれません!
The 2030 Vision
こういった部分を踏まえ、テクノロジーが何を提供できるのか、を考える必要がありますね!

6. まとめ

今回の記事では、「AWS クラウドを活用したコンテンツプロダクションセミナー」に参加して得られた知見や興味を持ったサービスについてご紹介しました!
メディア・コンテンツ制作においてここまでクラウドの存在感が増しているというのを実感として得られたこと、まだまだ吸収すべきことが多いということが分かり、とても良い経験になりました。
こういった顧客視点のセミナーに参加することは「自身の技術力を社会へ還元するには?」と考える機会になるため、今後も参加し、アウトプットしていきたいなと思います!!

フクナガ

インフラエンジニア歴5年のフクナガです。AWS(特にBedrockとCodePipeline)が得意分野。休日はベースを弾いてます。技術力と発信力を高め、Top Engineerを目指しています。

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