目は口ほどに物を言う。「アイトラッキングの原理とアウトプット例」

Tech

2016.6.10

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こんにちは、NHNテコラス株式会社の柏木と言います。
前回のエントリー「ASPカートシステムをグロースハックする」から2ヶ月以上が経ちました。自分的に予想通りです。さらに前回のブログではCARTSTARというASPカートシステム(ネットショップ構築)を、気がつけばプロジェクトマネージャーという立場で転籍半年後にリリースして・・・(略)そして次回はプロダクトを作っている過程についてのエントリーを書こうと思います。などと、言っていましたが、状況は変化し先のエントリーの中にもチラッと書いていた「おかいもの研究室」がメインとなってしましました。(故にプロダクトを作っている過程についてのエントリーはしばらく封印です。)
「おかいもの研究室」は最近では、なんとなく面白そうと言ってくださるクライアント様が多少なりとも増えてきましたので、より情報発信力を強化するために6月1日に「おかいもの研究室ブログ」を正式公開しました。よろしくお願いします。(さり気なく宣伝)
前振りが長くてすいません。今回のエントリーは「おかいもの研究室」で所有しているトビー・テクノロジー社製のアイトラッキング(視線計測)の原理について書こうと思います。


目は口ほどに物を言う/トビー・テクノロジーのアイトラッキング

トビー・テクノロジー社はアイトラッキング(視線計測)技術の世界最大手です。学術分野では、発達、教育、言語等の各種心理学、医学、工学部の幅広い分野で高い評価を得ています。また、消費財、自動車、インターネットなどの企業で、商品パッケージ、広告、ユーザビリティなどマーケティング調査、技能継承で活用されています。
NHNテコラスの「おかいもの研究室」でもトビー・テクノロジー社の最新機種を利用しての各種ユーザビリティ調査サービスを提供しております。
おかいもの研究室で利用している機材は以下。

Tobii Pro X3-120

サンプリングレート120Hzのスクリーンベース型アイトラッカー。旧製品(Tobii Pro X2-60)と比較するとサンプリングレートが、60Hzから120Hzにアップしたため、視線をより多く検出でき、またメガネをしている被験者でもテストが容易になりました。(旧製品はメガネをしている被験者の視線は検出しにくい。)また瞳孔検出能力にも優れているためキャリブレーション精度が大幅に向上しています。

Tobii Pro Studio

スクリーンベースのアイトラッカーから収集したデータの解析とビジュアル表示を行うソフトウェアです。テスト設計からテスト結果の解析およびまとめまでの、研究調査の全工程を支援します。

モバイル機器スタンド

X3-120アイトラッカーを使ったモバイル機器テストのための、固定ユニットです。スマートフォン、タブレットおよび他の同様機器で機能を発揮します。


アイトラッキングの原理について
一言で言うと「人がどこを見ているか」を調べる技術

2つのタイプがあります。

接触型

  1. サーチコイル法
    コイルを組み込んだコンタクトレンズを被験者の眼球に装着する
  2. 眼球電位法(Electro-oculograpy;EOG法)
    角膜と網膜の間の電位差を利⽤

非接触型※トビー・テクノロジー社はこのタイプ

  1. 強膜反射法
    被験者の目に弱い赤外線を当て、カメラで撮影する
  2. 角膜反射法
    被験者の目に弱い赤外線を当て、カメラで撮影する

Tobiiアイトラッカーの測定原理

  1. 瞳孔-角膜反射法
    PCCR ; Pupil Centre Corneal Reflection
  2. 明/暗瞳孔法
    the Bright/Dark Pupil Effect

角膜反射法 PCCR ; Pupil Centre Corneal Reflectionについて

角膜反射法

キャリブレーション(校正)時のプルキニエ像の位置

calibration

ある程度⼀定な照明環境下で眼球の⼤きさを測る処理。
上図のような瞳孔中⼼とプルキニエ像の位置関係をベースに視線計測を⾏う。

明/暗瞳孔法 the Bright/Dark Pupil Effect について

明瞳孔法(瞳孔が“白く”撮影されます。)

明瞳孔法

暗瞳孔法(瞳孔が“⿊く”撮影されます。)

暗瞳孔法

明/暗瞳孔法は被験者の目によって使い分けられている

■瞳孔映像の取得方法
明瞳孔法 :青い瞳
暗瞳孔法 :黒い瞳

Tobiiアイトラッカーを使用する前に必要なこと

被験者毎にキャリブレーション(校正)を⾏う必要がある。
キャリブレーションとは個人個人の目の特性(下記)を測定する処理。

  • ユーザーの眼球の大きさ
  • 眼鏡・コンタクトの着用の有無
  • 周囲の照明環境
  • 明瞳孔法/暗瞳孔法のどちらが適しているかの判定
  • 等々

被験者毎のキャリブレーションの結果から、⽣理学的3D眼球モデルを生成する。

⽣理学的3D眼球モデル

Eye position sample
Eye position sample
Eye model
Eye model
※人工的な眼球モデル(義眼)を用いてのキャリブレーションで調整などもやっている。

正確度と精度(Tobii Pro X3-120)

  • 正確度:0.24°
    実際の注視点からアイトラッカーによって計測された点までの、平均した角度を表す。
  • 精度:0.4°
    個々の注視点サンプル間の空間的変化量を表す。
    精度の計測は、人工的な眼球モデル(義眼)を用いて測定します。

tobii_accuracy

簡単なまとめ

詳しい話はさておき、とにかく「瞳孔の中心位置とプルキニエ像の位置関係」というフレーズと明瞳孔法と暗瞳孔法と言うキーワードあたりを覚えればカッコいいと思います。


さて、そんなアイトラッキングシステムを用いると、こんな事ができます。

アイトラッキングを用いたアウトプット例


スマートフォンを調査しているシーンです。Tobii Pro Studioから調査動画を書き出し動画編集ソフトで編集しています。。

ヒートマップ

どこの点に注視しているのか?を確認できます。見ていない点も可視化されますね。サーモグラフィみたいです。
ヒートマップ

ゲイズプロット

視点の動きを可視化します。番号は見ている順番、丸の大きさ注視時間、番号と番号は線で結ばれています。線が沢山見えている場合は目がアチコチに泳いでいると言う事です。(以下事例はとても良い状態です。)
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詳しい記事はこちら(おかいもの研究室ブログ内)
【まとめ】旅行情報サイトをアイトラッキングしてみた(4/4)
調査の手法はこちら(メインの宣伝)
アイトラッキングによるスマートフォン・タブレット調査メニュー

あとがき(妄想)

おかいもの研究室」ではアイトラッキング調査をはじめインタビュー調査やリモート動画調査などを用いて、消費者の行動心理をクライアント様と一緒に調査・研究をしております。興味のあるかたはお声がけください。
さらにアイトラッキングシステムを利用したUXワークショップの開催を松本ディレクターと一緒に企んでおります。各社自慢の管理画面を、それぞれがアイトラッキングしあう。各社それぞれが指定したタスクを、他社のスタッフが迷わずにクリアできるか?なんて面白そうじゃないですか?
それでは引き続き、よろしくお願いします。

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柏木誠

NHNグループの古株。ゲーム関連のサービス企画や、BtoB事業でプロダクトマネージャーや、経企に所属したりとか、いろいろやってきた。 現在は色々な企業と事業を創るお仕事。プロジェクト推進やリーダー育成の相談も来たりします。。 最近、HHKBをスマートに持ち歩く方法を思案中。note

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