グローバルワークロードに最適な「Cloud Spanner」の魅力を Google Cloud が公式で提供する顧客事例からひも解いてみた
2024.9.26
はじめに
こんにちは、フクナガです。
先日、Google Cloud の資格試験である「Professional Cloud Database Engineer」を受験しました!
勉強の過程で様々な Google Cloud のデータベースについて学び、Google Cloud には様々な特徴を持つデータベースがあることにとても驚きました。
特に Cloud Spanner というサービスに非常に魅力を感じました!
試験勉強では、サービスが持つ機能や特長を学ぶことはできますが、具体的に「なぜ選ばれるのか」をお客様視点で理解することは難しいと思います。
そのため本ブログでは、Cloud Spanner の基本的な特徴をご紹介し、さらに Google Cloud が提供するお客様の事例記事をご紹介することで、Cloud Spanner の魅力を深掘っていきたいと思います!
Cloud Spanner とは
データベースにはリレーショナルデータベース(SQL)、非リレーショナルデータベース(NoSQL)という大きな区分があります。
- リレーショナルデータベース
表形式でデータを管理するデータベースです。事前に定義されたキーによって、異なるテーブル間の関係を作成することができます。
参考:リレーショナル データベースとは -
非リレーショナルデータベース(NoSQL)
表形式ではない柔軟なスキーマモデルを使用するデータベースです。ドキュメント、Key-Value、ワイドカラム、グラフなどの様々な飛行増加データをサポートします。
参考:NoSQL データベースとは
それぞれの詳細な説明は省略しますが、今回お伝えしたいのは Cloud Spanner が非リレーショナルデータベースの特徴である高いスケーラビリティを持ったリレーショナルデータベースであるということです。
特長
(1) 高いスケーラビリティ
シャーディングやレプリケーション、トランザクション処理を自動的に処理してパフォーマンスを最適化します。
特徴的なのが、read-write(読み書き) レプリカです。
リレーショナルデータベースでは、リードレプリカ(読み取り専用)のみをサポートしているケースがほとんどだと思いますが、Cloud Spanner では書き込みも可能なレプリカをサポートしています。
ボトルネックになりやすい書き込みの処理をスケールできるというのはとても大きいメリットですね!
詳細な実現の仕組みや特徴については、下記を参照してください。
参考:レプリケーション
(2) 高い可用性
Multi-Regional Instance、Dual-Regional Instanceで利用する場合、SLAが99.999 % と定義されています。
※同じRDBであるCloud SQL(Enterprise Plus edition with high availability (HA))は99.99%
参考:
– Cloud SQL Service Level Agreement (SLA)
– Cloud Spanner Service Level Agreement (SLA)
(3) 高い整合性
高い整合性によって、データの信頼性を上げることが可能です。
TrueTime による順位付けによって強力なACIDを実現しているそうです。
参考:Spanner: TrueTime と外部整合性
料金体系
Cloud Spanner の料金は、コンピューティングやデータベースストレージ、バックアップ、ネットワークなどの使用量によって変わる従量課金制となっています。
参考:Spanner の料金
- コンピューティング容量
インスタンスのコンピューティングの単位は「ノード」や「処理単位」で表現されます。1ノードは1,000処理ユニット未満とされています。
例:200処理ユニットで実行時間が6時間のインスタンスは、1.2ノードとして課金される。
1時間あたり$1.17/ノード、1か月あたり$854.1/ノード です。
日本円(2024.09.24時点 1$=144.18円)で約12万円/月です。 -
ストレージ
1時間あたり$0.00053/GB、1か月あたり$0.39/GB です。
日本円(2024.09.24時点 1$=144.18円)で約56円/月・GBです。
また、リードレプリカを構築する場合に追加でデータベースストレージ料金が発生します。
1時間あたり$0.00014/GB、1か月あたり$0.1/GB です。 -
バックアップストレージ
1時間当たり$0.00014 /GB、1か月あたり$0.1/GB です。 -
ネットワーク
インバウンドデータ転送や同一リージョン内のデータ転送については無料で利用できます。
リージョン間については、料金ページを参照ください。
※試算はTokyo(asia-northeast1)になります
Cloud Spanner に関する顧客事例
Cloud Spannerの概要や特長を押さえたところで、本題である顧客事例を見ていきたいと思います!
① DMM.com
「DMM TV」という動画配信サービスのデータベースに Cloud Spanner を採用した事例です。GKE と組み合わせて利用することで、急激なアクセス増加に耐えうる構成となったと紹介されています。
参考:DMM.com: これからのビジネスを担う動画配信サービスの提供と、データ分析基盤のモダナイズを Google Cloud で実施
② みんなの銀行
日本初のデジタルバンクとして注目を集めた「みんなの銀行」の勘定系データベースとして Cloud Spanner を採用した事例です。
東京(asia-northeast1)と大阪(asia-northeast2)のマルチリージョン構成を実現するためには Cloud Spanner しかない、という力強い表現が使われており、どれだけ Cloud Spanner の存在が大きかったかを表していますね。
参考:みんなの銀行:日本初の「デジタルバンク」として Google Cloud に勘定系を構築。Cloud Spanner で銀行基幹システムで求められる可用性を実現
➂ JCB
金融サービスとして重要な「可用性」を高めるために、Cloud Spanner を採用したという事例です。
東阪マルチリージョン構成かつ99.999%を実現できる Cloud Spanner は、可用性が重要なワークロードにはぴったりですね!
参考:JCB:グローバル競争力を高めるための迅速なサービス開発が可能な次世代金融プラットフォームを構築
④ 国際自動車株式会社
フルクルというタクシーアプリの事例となります。
Cloud Spanner の水平レプリケーションに価値を感じ、採用を決めたそうです。
複雑なクエリーに対応している点についても言及されており、さらに Cloud Spanner の素晴らしさを感じられる事例でした!
参考:国際自動車株式会社の導入事例:何千ものタクシーと乗客を、スマホを振るだけでマッチング。リアルタイム性が求められるビッグデータ処理を Cloud Spanner で一挙可能に
➄ バンダイナムコエンターテインメント
『ドラゴンボール レジェンズ』というモバイルゲームのインフラストラクチャに Google Cloud を採用した事例です。
MySQL の経験を多く積んだエンジニアのメンバーが不自由なく使える、かつスケーラビリティを持っているデータベースとして Cloud Spanner を採用したそうです。
この記事には、実際に採用されるまでの評価フェーズやリリース後の結果まで細かく書かれています。
「スケーラビリティの高いリレーショナルデータベース」というのがいかに価値が高いかが分かりますね!
参考:『ドラゴンボール レジェンズ』の舞台裏を支える Google Cloud
⑥ Glance
Glanceがもともと採用していたドキュメントデータベースを Cloud Spanner に移行した事例です。
他の記事に比べてもかなり詳細に選定理由や移行のステップが説明されています。
Cloud Spanner を実際に使う検討を始める際に、非常に参考になる事例だなと感じました。
参考:Spanner によりデータベース運用を改善した Glance の事例
まとめ
今回の記事では、Google Cloud から提供される事例記事を取り扱うことで「Cloud Spanner」の素晴らしさをお伝えしました。
お客様視点で、リレーショナルデータベースにおける「スケーラビリティ」や「可用性」がいかに大事かを実感することができました。
また、「Google Cloud が東京・大阪と日本で2リージョン展開している」という点は、日本の企業が Cloud Spanner を採用する大きな理由になるようです。
今回は Cloud Spanner でしたが、他のサービスについても同様に、事例記事から具体的なユースケースやメリットを学んでいけたらと思います!
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