【生成AI】Amazon Nova に最高性能のモデル「Premier」が登場しました!
はじめに
こんにちは、フクナガです。
2024 年の AWS re:Invent では、Amazon からの新基盤モデル「Amazon Nova」が登場し、非常に話題になりましたね。
これまで、Amazon Nova の利用可能なモデルの中で最高性能なのは Amazon Nova Pro でした。
2025 年 4 月 30 日から、一般向けに Amazon Nova Premier という最高性能のモデルが提供開始となりましたので、そちらについて解説していきたいと思います。
Amazon Nova のモデルまとめ
現在利用可能な Amazon Nova のモデルについて簡単に振り返ります。
1. 通常のモデル
テキストでのやり取りや、画像/動画に対応したマルチモーダルモデルについて紹介します。
参考:Amazon Nova 理解モデル
テキストのみ対応したモデルで、最も早く低コストなモデルです。
Amazon Nova のマルチモーダルモデルの中で最も早く低コストなモデルです。
画像、動画、テキスト入力に対応します。
Amazon Nova のマルチモーダルモデルの中で質とコストのバランスの取れたモデルです。
画像、動画、テキスト入力に対応します。
Amazon Nova のマルチモーダルモデルの中で最も能力の高いモデルです。
複雑なタスクもこなし、蒸留の教師モデルとしても利用可能です。
参考:Amazon Bedrock Model Distillation
2. 画像/動画生成
参考:Amazon Nova クリエイティブコンテンツ生成モデル
画像生成モデルです。
テキスト・画像入力に対応します。
動画生成モデルです。
テキスト・画像入力に対応します。
3. speech-to-speech モデル
ユーザーからの音声入力に対し、音声で返答するモデルです。
デモなども共有されているので、下記のサイトを参照してみてください。
参考:Amazon Nova Sonic
Claude との比較
利用できるモデルの多様さは Amazon Bedrock の大きな魅力の一つです。
参考:Amazon Bedrock をグラレコで解説
ただ、意外とモデルの使い分けというのは難しいと思います。
現状だと日本語にも問題なく対応でき、質の面でも非常に話題になりやすい Anthropic 社が提供する「Claude」が使われがちだと思います。
今回は、「Amazon Nova Premier」が Claude と比べてどういった違いがあるのかをご紹介します。
性能
出典:Amazon Nova Premier: Technical Report and Model Card
テキスト処理においては、Claude の最新モデルである「Claude 3.7 Sonnet」の性能には及ばない指標が多いです。Claude はやはり話題になるだけあり、かなり高い性能を誇っています。
注目すべきはマルチモーダル処理です。
Document Understanding、Long-Form Video Understanding、Visual Counting などのスコアが比較対象よりも上回っています。
用途によると思いますが、画像や動画認識を使ったマルチモーダルな AI 実装を考える際、
Amazon Nova Premier が向いているのかもしれませんね!
料金
Amazon Bedrock 上で利用する際の料金について比較していきます。
軽量・重量モデルを利用した使い分けなども話題になりがちなので、それぞれのプロバイダーから提供される他モデルの料金についても記載いたします。
参考:Amazon Bedrock pricing
モデル | インプット料金/1000トークン | アウトプット料金/1000トークン |
---|---|---|
Amazon Nova Premier | $0.0025 | $0.0125 |
Amazon Nova Pro | $0.0008 | $0.0032 |
Amazon Nova Lite | $0.00006 | $0.00024 |
Amazon Nova Micro | $0.000035 | $0.00014 |
Claude 3.7 Sonnet | $0.003 | $0.015 |
Claude 3.5 Haiku | $0.0008 | $0.004 |
Claude 3 Opus | $0.015 | $0.075 |
そこまで大きな差ではありませんが、Amazon Nova Premier の方が Claude 3.7 Sonnet よりも安価です。
また、Claude の軽量モデルである Claude 3.5 Haiku は Amazon Nova Pro とほぼ同価格です。
Amazon Nova Pro よりも軽量なモデルが2つもあるため、同プロバイダーが提供するモデルの料金幅は Amazon Nova の方が大きいようです。
軽量・重量それぞれのモデルを組み合わせて料金を抑える手法を考える際に、Amazon Nova を用いるとより大きな削減効果が得られそうですね。
生成 AI の利用料金を抑えたい方は、Amazon Nova をうまく活用した運用を考えていくのがよさそうです。
使ってみた
Amazon Bedrock でのモデル有効化や利用方法については下記のブログをご参照ください。
今回は、「Amazon Nova Premier」「Amazon Nova Pro」「Claude 3.7 Sonnet」の 3 モデルで比較してみました!
NHN テコラスの Web サイトにて公開された生成 AI に関する事例記事を要約してみました!
AIをフル活用し、新聞配達店の窓口対応をチャットボットにより無人化 感情分析に基づいた緊急度自動判定も可能に – オルタナティブ導入事例
プロンプト
下記は NHN テコラスが公開した事例記事となります。 30秒で要点がわかる要約版を作成してください。 <article> 事例記事の文字起こしを記載 </article>
出力スピード
メトリクス | Amazon Nova Premier | Amazon Nova Pro | Claude 3.7 Sonnet |
---|---|---|---|
レイテンシー | 2909 ms | 2121 ms | 10880 ms |
体感でも、Amazon Nova の両モデルがかなり速い印象でした。
回答内容
【Amazon Nova Premier】
新聞配達店の問い合わせ対応をチャットボットで自動化し、人件費を35%削減。NHN テコラスの技術支援により、開発期間を1ヶ月短縮。感情分析で緊急度を判定し、無人対応を実現。インターン生も参加し、AWSと生成AIの技術を学んだ。今後は顧客データを活用した高度な分析を計画。
【Amazon Nova Pro】
### 要約
北海道札幌市のオルタナティブ社は、IT顧問、システム開発、人材・研修を通じて企業のIT活用とDX支援を行っています。同社は顧客である新聞配達店の問い合わせ対応を自動化するため、Amazon ConnectとAmazon Lexを利用したチャットボットシステムを構築しました。このプロジェクトでは、NHN テコラスの技術支援により、開発期間を約1ヶ月短縮し、システムの品質向上を実現しました。チャットボット導入により、従来の有人対応から無人対応へ移行し、人件費を含むTCOを約35%削減、業務効率化にも成功しました。今後は、AWSクラウド上で顧客情報を集約し、リアルタイムの意思決定支援や予測分析など、より高度なデータ活用戦略を展開する予定です。
【Claude 3.7 Sonnet】
# NHN テコラス活用事例の30秒要約
**札幌市のオルタナティブ社が新聞配達店のコンタクトセンターをAI無人化**
– **課題**: 新聞配達店の問い合わせ窓口をAmazon ConnectとLexでチャットボット化したかったが、AWS知識と生成AIの調整に課題があった
– **解決策**: NHN テコラスが技術支援を提供し、Amazon Connect、Lex、Bedrock(Claude)などを活用し完全無人対応システムを構築
– **効果**:
* 開発期間が約1ヶ月短縮
* 人件費含むTCOを約35%削減
* 感情分析による緊急度自動判定機能を実装
* 早朝電話対応の無人化に成功
– **今後**: クラウドでの顧客データ集約とAI分析による高度なデータ活用を計画中
所感
ぱっと見は Claude 3.7 Sonnet がよさそうに見えますが、よくよく見ると Amazon Nova Premier も記事から重要な要点を拾ってきています。
細かく指示を与えていない中でよりこちらの意図を汲んでわかりやすいフォーマットに整えている Claude 3.7 Sonnet に対し、「30 秒で読める要約版を作成する」という指示に忠実に従っている Amazon Nova Premier、Pro という印象を受けました。
出力速度の差や利用料金も考慮すると、モデルの選択肢としては十分に考えられそうです。
まとめ
今回のブログでは、4 月 30 日に一般向けに利用開始となった Amazon Nova Premier についてご紹介しました。
生成 AI を実案件に使っていくにあたり利用料金や速度は非常に重要な指標です。
色々なモデルを比較するうえで、Amazon Nova Premier のコストパフォーマンスは非常に魅力的に感じました!
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Follow @twitter2024 Japan AWS Top Engineers / Google Cloud Partner Top Engineer 2025 に選出されました! 生成 AI 多めで発信していますが、CI/CDやIaCへの関心も高いです。休日はベースを弾いてます。
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