【AWS Summit Japan 2024】プロトタイプ開発から見えてきた公共向け生成 AI ユースケースと知見共有(AWS-52)
はじめに
こんにちは、フクナガです。みなさん、AWS Summitお疲れさまでした!!
今年も様々な企業が出展していたり、AWSからもたくさんの事例やユースケースの展示がありとても盛り上がりましたね!!
今回の記事では、2日目に私が現地で見させていただいた「プロトタイプ開発から見えてきた公共向け生成 AI ユースケースと知見共有」について、関連する情報とともにレポートしたいと思います。
AWS Summitでのセッションは7月5日まで無料でアーカイブ配信されておりますので、気になる方はぜひ視聴してみてください!!
登録用URL
生成AIのビジネス活用状況
(1) 海外企業における活用例を知る
実は、AWS公式YouTubeで「Amazon Bedrock Customer Success Storiesというプレイリストが公開されました!
海外の企業のインタビューとなりますが、様々なユースケースが知れて非常に勉強になります!
レガシードキュメントの解読
United Airlines uses Amazon Bedrock to innovate 50-year old technology
P&Rというレガシーなドキュメントを現代英語に変換する、というユースケースでした。元々のドキュメントは、半年で読み方が習得、マスターするには数年かかるというとてつもない書物です。生成AIを導入したことで、「今のナレッジをどう引き継ぐか」ではなく、「お客様のために、どういった改善が図れるか」に時間を使えるようになったそうです。すばらしい!!
業界ルールの検索チャットボット
NYSE trusts Amazon Bedrock to deploy generative AI across world’s largest capital market
トレーディングのルールについて2万ページ分(自社以外のもの含め)を検索可能なチャットボットを構築したそうです。「ルールを全く知らない人が使う」というよりは「プロの仕事をより早くする」意図で導入されているようです。「あれ、なんだっけなぁ?」とついつい忘れてしまう知識を簡単に検索・取り出すことができるのは、とても便利ですよね。
データ処理 × 生成AI
Carrier Uses Amazon Bedrock to Help Customers Achieve Their Sustainability Goals
データを統合する際、全く同じ意味だけど違う表現のものを整理するのに使ったりしているそうです。動画内では、「Total Usage」と「Total Consumption」という二種類の項目を例に挙げていました。辞書のように、事前に登録することも可能ですが、種類が増えれば増えるほど登録の手間が増大するうえ、人手での作業によるミスのリスクも高まりますよね。そこを自動化できるのは非常にメリットが大きいなと思いました。
(2) 公共機関における活用例を知る
AWS公式サイトでは「公共機関における生成 AI の活用案」という特設サイトが公開されています。
国民向けコールセンターでの導入事例や、学校向けのユースケースなど、様々な事例が公開されておりますので、ぜひチェックしてみてください!!
セッションレポート
セッションタイトル
プロトタイプ開発から見えてきた公共向け生成 AI ユースケースと知見共有
登壇者
松田 丈 様
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
パブリックセクター 技術統括本部 プロトタイピング ソリューションアーキテクト
概要
生成 AI は、様々な業界にブレイクスルーを起こしています。公共部門においても生成AIの活用が期待されていますが、民間企業と比べ、より慎重な対応が求められます。本セッションでは、公共部門における生成 AI 活用の課題と可能性を探ります。生成 AI を公共サービスに活用するユースケースを提示し、実際にプロトタイプを開発した経験から得た知見を紹介します。
感想
セッションの中で共感したり、新しく学んだ点を抜粋してご紹介します!!
1. RAGは万能ではない
ハルシネーションを防ぐ方法として「RAG」が定着してきたかなと思います。このセッションの中では、「RAGを実装してもハルシネーションが起きるリスクは0にはならない」ということが強調されていました。
実業務に組み込む際、「生成AIはハルシネーションが起こるから使えない」といった声を聞くことがあります。実業務において、正しくない情報をもとにしたオペレーションというのは非常に問題があると思います。ただ、人間が同じ業務を行ったときに間違いが起こらない、と言い切れるでしょうか。間違いが許容されないほとんどの業務でダブルチェックや事前のレビューは必ず行われていると思います。
このセッションでは、生成AIによって得られた情報についても必ずレビューをする必要がある、ということが語られていました。また、人間による確認を含めても生成AI導入によって生産性向上は見込める、ということも言及されており、非常に共感しました。
2. プロンプトの改善サイクル
生成AIによって構築された業務改善システムを繰り返し使って改善していく必要がある、という部分が非常に勉強になりました。
「最初から実用可能な品質にはならないことを理解してもらう」ことが非常に重要だと語られており、顧客から相談を受けた際や今後のセミナーでも意識しようと思いました。
また、本セミナーで特に面白かった点が「UIを工夫する」という点です。顧客が改善サイクルに参加してもらうためには、使ってもらうことと入出力の関係を理解してもらうことが重要です。また、改善のためのアクションを「エンジニア」や「開発ベンダー」に依存してしまうと、サイクルを回すスピードが遅れてしまいます。
そういった点を「UIの工夫」で改善した、というのが非常に面白いと感じました。
まとめ
今回の記事では、2日目に私が現地で見させていただいた「プロトタイプ開発から見えてきた公共向け生成 AI ユースケースと知見共有」について、関連する情報とともにレポートしました。生成AIを実用化する、ことに対するハードルや工夫について知れて非常に勉強になりました。ほかにも気になるセミナーがたくさんあるので、アーカイブでたくさん見たいと思います!
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Follow @twitterインフラエンジニア歴5年のフクナガです。2024 Japan AWS Top Engineers選出されました! 生成 AI 多めで発信していますが、CI/CDやIaCへの関心も高いです。休日はベースを弾いてます。
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