Cloud Spanner のリージョンを徹底解説!
2024.10.25
はじめに
こんにちは、Koo です。
今回の記事では、前回の記事で特徴として紹介したリージョンについて徹底解説します。
結構細かいところを伝えたいので、最後までご覧ください!
Cloud Spanner とは
概要と料金を知りたい方は前回の記事をご覧ください!
リージョンとは
クラウドでよく聞く「リージョン」とは、簡単に言うと、データセンターが置かれている地理的な場所のことです。世界中にたくさんの図書館があるように、クラウド上にもたくさんのデータセンターが存在します。
各リージョンは、地理的に離れた場所に配置されています。
Cloud Spanner は様々なリージョンに配置ができ、1つ以上またはそれ以上のリージョンにわたってインスタンスを作成することができます。
リージョンが必要な理由
■データの安全性
リージョンは、まるで世界中に散らばっている倉庫のようなものです。一つの倉庫に火事などが起こっても、他の倉庫にデータがあれば、データを取り出すことができます。
つまり、あるリージョンで障害が発生しても、他のリージョンにデータが保存されていれば、サービスを継続できます。これをデータの冗長性や耐障害性と言います。
■パフォーマンス向上
リージョンは、まるで近くの図書館のようなものです。近くの図書館に行けば、すぐに本を借りることができます。同じように近いリージョンを使うことで、データの読み書きが速くなり、低レイテンシーを実現できます。
Cloud Spanner のリージョン構成
Cloud Spanner では、インスタンスを1つまたは複数のリージョンにまたがって作成できます。
これにより、アプリケーションの要件に応じてデータの可用性やパフォーマンスを選択することが可能です。
以下では、Cloud Spanner の3つの主要なリージョン構成について詳しく説明します。
(1) シングルリージョン
シングルリージョン構成では、データは1つのリージョン内に保存されますが、少なくとも3つのゾーン(データセンター)に分散してデータが複製されます。この構成では、1つのゾーンに障害が発生しても、他のゾーンでデータが保持されているため、引き続きデータを使用できます。
簡単に言うと、同じデータを複数の場所に保存しておくバックアップシステムのようなものです。
■利用シーン
主に国内でのみ運用されるアプリケーションに適しています。例えば、1つの国でのみ顧客データを処理する場合や、リージョン間の遅延が重要でないアプリケーションでよく使用されます。日本国内で東京リージョンを利用してユーザーデータを保存することが代表的です。
コスト効率を考慮した選択として、1つのリージョンのみを使用する方が複数リージョンよりもコストが低くなります。
(2) マルチリージョン
マルチリージョン構成では、データが3つ以上のリージョンにまたがって複製され、最も高いレベルの可用性と耐障害性を提供します。
そのうちの2つのリージョンにそれぞれ読み書きのレプリカが分散した形で配置されます。
1つのリージョンには Witness というレプリカが配置されます。
例えば、東京リージョン、大阪リージョン、ソウルリージョンがあるとします。トランザクションが始まると、東京リージョンと大阪リージョンはデータを処理し、互いにログとメッセージをやり取りします。
ソウルリージョンは、東京と大阪でやり取りしたメッセージを確認し、このトランザクションが正常に処理されているんだなと判断して投票に参加します。
東京リージョンに問題が発生しても、大阪リージョンと ソウルリージョンが同意すれば、システムは止まらずに作動し続けることができます。
役割としては、Witness はデータを保存しませんが、ログとメッセージを通じて他のリージョンがデータをうまく処理しているかを確認し、投票に参加してシステムが安全に作動するように助ける役割をしています。
※マルチリージョンとデュアルリージョンを使用したい場合は「Enterprise Plus」を選択してください!
参考:Spanner エディションの概要
■利用シーン
グローバルサービスに必須の選択です。世界中のリージョンにデータを分散させ、各地域のユーザーに対して高速で安定した応答を提供します。例えば、グローバルな電子商取引プラットフォームやオンラインゲームサービスでは、マルチリージョン構成がよく採用されます。また、金融機関のように、データの一貫性と可用性が極めて重要なシステムにも適しています。
(3) デュアルリージョン
デュアルリージョンは今年追加されたオプションとなります。
デュアルリージョン構成からは Enterprise plus エディションを選択すると使用可能です。
全部で4つのリージョンを選択できます。
- dual-region-australia1 (シドニー/メルボルン)
- dual-region-germany1 (ベルリン/フランクフルト)
- dual-region-india1 (ムンバイ/デリー)
- dual-region-japan1 (東京/大阪)
デュアルリージョン構成では、2つのリージョン(東京、大阪)と、2つの Witness レプリカを国内に配置します。通常時は6つのレプリカでクォーラムを形成します。
もし、東京リージョンが完全にダウンした場合は、残った大阪リージョンの3つのレプリカでクォーラムを形成し、処理を継続します。
この構成変更は自動で行われますが、手動での切り替えも可能です。
■利用シーン
災害復旧 (ディザスタリカバリ) 計画が重要なアプリケーションに適しています。例えば、1つのリージョンに自然災害や大規模な障害が発生した場合でも、他のリージョンで復旧できるシステムです。
日本の東京-大阪リージョンペアは、主要な金融機関で災害復旧目的によく使用されます。
トランザクションデータのように、継続的な高可用性が求められるアプリケーションでも適しています。
■参考
リージョン構成とマルチリージョン構成
リージョンの種類
まとめ
今回の記事では、Cloud Spanner のリージョンについて説明させていただきました。
これから伝えたい情報が多いので、楽しく見ていただければと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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Follow @twitter2024年新卒入社。
料理と音楽が好きなデータベースエンジニアです。
MySQL と Google Cloud、特に Cloud Spanner への関心が高いです。
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