[AWS re:Invent 2024] Revolutionizing sports with generative AI: The Bundesliga trailblazer (SPT207)

AWS

2024.12.12

Topics

はじめに

こんにちは、フクナガです。
AWS re:Invent 2024 に現地参戦させていただいたのですが、そのセッションの 1 つである
Revolutionizing sports with generative AI: The Bundesliga trailblazer
について現地の様子とともにお伝えしたいと思います!

生成 AI を実際の業務に活用してサッカー業界を盛り上げよう、という内容で様々な取り組みが紹介されており、共感を呼ぶのではないかなと思っております!

ブンデスリーガとは

本セッションで出てくる「ブンデスリーガ」について簡単に解説しておきます。
ブンデスリーガは、ドイツのプロサッカーリーグのことです。
参考:ブンデスリーガとは?リーグの歴史・仕組み・魅力を解説

数多くの日本人も活躍したリーグとして知られており、私が最も見ていた世代だと香川真司選手がドルトムントというチームに在籍していました。

これ以上解説するとサッカーブログになってしまうので、このあたりでやめておきますね!

セッション概要

タイトル:Revolutionizing sports with generative AI: The Bundesliga trailblazer

「trailblazer」には「先駆者」や「開拓者」という意味があります。
ブンデスリーガがサッカー業界における IT 技術活用の先駆者である、という強い気持ちが表れたタイトルになっています。

概要

ブンデスリーガは、生成AIの先駆的な採用を通じて、スポーツ業界の限界を押し広げ、業界を高めています。その変革の旅を発見してください:影響力のある生成AI戦略の構築、テキストベースのコンテンツを世界中のファンに向けた魅力的なストーリーフォーマットに変換、ファンにパーソナライズされたローカライズされたコンテンツの提供、動的でリアルタイムの試合解説の試行、国際的な放送局向けに試合データを使用したパーソナライズされたストーリーの生成。このセッションでは、ブンデスリーガの生成AIにおける先駆的なアプローチと、それがスポーツ業界を再構築する可能性についての貴重な洞察を提供します。最先端の生成AI技術がどのようにして組織のゲームを高め、これまでにない方法で観客を魅了するかを目の当たりにしてください。(日本語訳)
出典:AWS re:Invent 2024 – Revolutionizing sports with generative AI: The Bundesliga trailblazer (SPT207)

セッション会場の様子

本セッションは「Sports Forum」と呼ばれる広場のような場所で行われました。
この会場には様々なスポーツ関連の展示があり、様々なアクティビティがあります。
昼間にはこの広場でアメフトの試合が放映されている時間もあり、多くの人が集まってアメフトを観戦するという和やかな風景を楽しむことができました!

ちなみに Sports Forum ではフリーキックコーナーがあり、元サッカー小僧の私も挑戦してみました!

まだ、全然人がいない時にやったので一応 9 位になれました!
おそらく速攻で塗り替えられたと思いますが、一応記念に取った一枚を載せておきます。

私は最前列で見させていただきました。

セッションの注目ポイント

本セッションの素晴らしいポイントは、「解決したい課題や目標を達成するために技術を使っている」ということだと感じました。
特に生成 AI は「生成 AI を使うこと」がゴールになりがちです。
IT 技術を活用した DX を検討する際によく陥りがちな課題かなと思いますが、
やりたいことを達成するための手段として技術をとらえていて素晴らしいなと思いました。

そういった観点で注目すべき部分をいくつかご紹介したいと思います。

(1) ブンデスリーガアプリの顧客体験を向上

ブンデスリーガでは、ファンとのコミュニケーション基盤として公式アプリを提供しています。
The official Bundesliga app

このアプリで重要なのが「パーソナライズ」となります。
自分が好きなクラブの内容はもちろん、ライバルクラブの情報も知りたいかもしれません。
もしくは、自分が好きだったけど移籍した選手についても知りたい人が多いかもしません。

そういった「興味がありそうな情報」をいかにユーザーに届けられるかが重要なわけですね。

パーソナライズに必要な収集されたデータを Amazon Personalize へ投入することで、ユーザーが知りたい情報を届けられるようにしたという事例がセッション内で紹介されています。

結果として、それぞれのファンが求めるコンテンツを提供することが可能になり、下記の効果を生み出したそうです。

  • アプリの使用量が 17% 増加
  • 記事が読まれたセッション数が 32% 増加
  • 読まれた記事の合計数が 67% 増加

この内容に特化した動画があったので、こちらもご紹介させていただきます。
Bundesliga Leverages Amazon Personalize to Enhance the Fan Experience | Amazon Web Services

(2) Gen AI live ticker

「live ticker」は、実況解説みたいなものと認識しておけばよさそうです。

この内容は、AWS 公式からブログが公開されています。
Revolutionizing fan engagement: Bundesliga generative AI-powered live commentary

ブンデスリーガは世界中にファンがいる超有名リーグです。
そのため、国外のファンのことを考えたコンテンツ作りも必要になります。
それを実現するために生成 AI を組み込んだソリューションを提供することになったそうです。


出典:Revolutionizing fan engagement: Bundesliga generative AI-powered live commentary

言語のほかにも文体(「スポーツ ジャーナリスト」、「カジュアル」など)も様々なものを生成する機能があるようで、生成 AI の強みを最大に生かしていますね!

(3) The Data Story Finder

データストーリー」とても良い言葉ですね!
このパートの冒頭で、「ファンも放送局も、試合のより深いストーリーを知りたがっている」ということが話されています。

テレビでサッカー中継を見ていると「ホームでの勝率が 70% を超える」とか、「先制点を取った場合、このチームは負ける確率が低い」などの情報を解説の方が話すことがあると思います。
そういった情報を即時に提供するために作られたシステムのようです。

セッション内で紹介されていたシステムの操作画面がこちらです。


出典:Data Story Finder – Artificial Intelligence supports live commentary

このソリューションに生成 AI が加わることで、試合の情報を集約しサマリーを自動で作成することができるため、解説者がハーフタイム中の試合分析や試合後の振り返りに使うことができるようになる、と説明されていました。

ファンがブンデスリーガにより夢中になってもらうためには、試合中の実況や解説のクオリティは非常に大切です。
そのクオリティを上げるために、データ活用および生成 AI を活用したこの事例はとても素晴らしいですね!

この「Data Story Finder」については、下記のサイトに詳細な紹介が載っていますので、興味がある方はぜひ見てみてください!
Data Story Finder – Artificial Intelligence supports live commentary

(4) コンテンツのローカライゼーション

先述した通り、ブンデスリーガは世界的に有名なサッカーリーグですので、世界中にファンがいます。
そのため、ドイツ語のコンテンツ以外にもそれぞれの国に最適化されたコンテンツ作りが必要になります。
セッション内では「ただ翻訳するだけでなく、その地域や文化に合った適切な変換が必要だ」と語られています。

そうした変換やコンテンツの作成を効率的に行うのに生成 AI が役立つと説明されています。

具体的な施策や効果は語られませんでしたが、来年には AWS 公式ブログだったりで特集記事が組まれるかもしれませんね!

セッションの振り返り

このセッションでは、ブンデスリーガがファン体験をいかに向上させるか、またそれをどういった技術を使って実現しているか、について説明されています。
中でも「国外のファンにどう届けるか」ということについて様々なアプローチが語られていた印象です。

これはあくまで私の意見ですが、超有名リーグは国内でファンになりうる人たちはほぼほぼ獲得しきっているのかなと思います。
もしそうなら、ビジネス拡大の戦略として「国内のファンを拡大するための施策」はあまり効果的ではないと考えられます。(これ以上増えないという意味で)

そういった事情から、「どうやって海外のサッカーファンをブンデスリーガに注目させるのか」、
また「どうやって海外のサッカーファンにブンデスリーガを追いかけ続けてもらうのか」にテーマを置いて色々な施策を考えているのではないでしょうか。
海外展開を考える企業にとって、様々なコンテキストを理解し、コンテンツを生成することができる生成 AI は非常に優れたソリューションになりそうですね!

おまけ

最近は、「サッカーにおけるデータ活用」というのが話題になってきています。
下記の動画は、ブライトンというイングランドのプレミアリーグというプロサッカーリーグのチームの CEO の方がデータ活用についてお話している動画です。
【ブライトンCEOが語るサッカーのデータ革命】三笘獲得の裏側/データドリブンなチーム作り/プレミアリーグで最高益の理由/3ミリオンポンドのデータの価値/バークレイズ銀行出身CEO/Jリーグ発展の必要性

動画内で CEO のポール・バーバー氏が「世界中すべてのプロリーグのデータを取得しています」とおっしゃっていて、衝撃を受けたのを覚えています。
選手や監督/コーチの獲得、トレーニングメニュー、試合の戦略などプロリーグではとてつもない量のデータを分析したうえで意思決定をしているみたいですね。

大量の整備されたデータを持っているサッカーチームやリーグにとって生成 AI は最適なインサイトを得ることやコンテンツ作りなど、様々な活用が検討されるのかもしれませんね。

まとめ

本ブログでは、AWS re:Invent 2024 内の「Revolutionizing sports with generative AI: The Bundesliga trailblazer」というセッションについて解説をしました。
個人的に学生時代はサッカーをずっとやってきていたので、非常に身近で記憶に残るセッションでした。

また、各パートで PartyRock について触れられているのもとても印象的でした。
思いついたことを開発期間 0 で、即座に始められる PartyRock で、生成 AI 活用をスタートするのもとてもよさそうですね!

今後もプロサッカーリーグの技術活用をリードするブンデスリーガに注目していきたいと思います!

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フクナガ

2024 Japan AWS Top Engineers / Google Cloud Partner Top Engineer 2025 に選出されました! 生成 AI 多めで発信していますが、CI/CDやIaCへの関心も高いです。休日はベースを弾いてます。

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