データベース好きが語る re:Invent 2025 のデータベースのアップデート/セッションまとめ
2025.12.22
この記事は NHN テコラス Advent Calendar 2025 の 22 日目の記事です。
概要
本記事は、先日開催された「AWS re:Invent 2025」のデータベース関連のアップデートやセッションをまとめたレポートです。
データベース好きの視点から、今年の主要なアップデートと、個人的に注目したセッションを紹介します。
AWS re:Invent 2025 | December 1 – 5, 2025
資料
AWS re:Invent 2025 re:Cap LT 大会 データベース好きが語る re:Invent 2025 データベースアップデート/セッションの紹介 – Speaker Deck
データベースアップデート
re:Invent 2025 期間中に公開されたデータベースのアップデートは以下の 4 件です。
- Amazon RDS for SQL Server が Developer Edition のサポートを開始 – AWS
- Amazon RDS for SQL Server で新世代のインスタンスに対応した CPU 最適化機能の提供を開始し、料金の最大 55% 引き下げを実現 – AWS
- Amazon RDS for Oracle/SQL Server は、追加のストレージボリュームを追加して最大 256 TiB のストレージのサポートを開始 – AWS
- 最大 35% の節約が可能になる Database Savings Plans の発表 – AWS
各アップデートの詳細は以下をご覧ください。
[AWS Black Belt Online Seminar] AWS re:Invent 2025 速報 資料及び動画公開のご案内 | Amazon Web Services ブログ
re:Invent 2024 期間中に公開されたデータベースのアップデートは以下の 5 件です。
そのため、2024 年のアップデート数と比較すると、ほぼ同程度の件数となります。
- Amazon Aurora DSQL を発表
- Amazon DynamoDB Global Tables がマルチリージョンの強い整合性に対応
- Oracle Database@AWS の限定プレビューを開始
- Amazon MemoryDB Multi-Region の⼀般利⽤を開始
- AWS DMS で⽣成 AI によるスキーマ変換機能が利⽤可能に
[AWS Black Belt Online Seminar] AWS re:Invent 2024 速報 資料及び動画公開のご案内 | Amazon Web Services ブログ
Database Savings Plans
「Database Savings Plans」が個人的に一番熱かったので、アップデート内容をもう少し見ていきます。
- アップデートの概要
- Database Savings Plans は、1 年期間での一定の使用量にコミットするときにデータベースコストを最大 35% 削減する柔軟な料金モデル
- アップデートのポイント
- サーバレスサービスに対応
- Aurora Serverless, DSQL, DMS Serverless, Neptune Serverless, DocumentDB Serverless, ElastiCache Serverless
- 現在は「期間:1 年・支払いオプション:前払いなし」のみ対応
- プロビジョンドインスタンスは最新のインスタンスのみ対応(7 世代~)
Aurora プロビジョンドと Aurora Serverless を簡単に比較してみました。
| タイプ | 価格モデル | 容量 | 費用 |
|---|---|---|---|
| プロビジョンド | オンデマンド | r8g.large | 255.72 USD/月 |
| Serverless | オンデマンド | 8 ACU | 888.63 USD/月 |
| Serverless | Savings Plans | 8 ACU | 582.03 USD/月 |
単純比較では、まだプロビジョンドのオンデマンドや RI/SPs には及びませんが、以前よりもコスト削減の余地が生まれたため、コスト面での導入障壁は低くなったと考えます。
なお、「Savings Plans の推奨事項」を使用できるため、既存の SPs と同じ方法でコスト最適化の検討ができると思います。
AWS ブログや re:Invent のセッションでも詳しく紹介されているので、ぜひご覧ください。
AWS re:Invent 2025 – [NEW LAUNCH] Deep dive into AWS Database Savings Plans (DAT326) – YouTube
Introducing Database Savings Plans for AWS Databases | AWS News Blog
データベース セッション
re:Invent 2025 イベントカタログでトピックが「データベース」のセッションは全部で「169 件」あります。
https://registration.awsevents.com/flow/awsevents/reinvent2025/eventcatalog/page/eventcatalog?search=&search.topic=1752157283215007FLPp
さらにレベル別で見ていきます。
- レベル 100 : 5 件
- レベル 200 : 21 件
- レベル 300 : 57 件
- レベル 400 : 85 件
- レベル 500 : 1 件
他のトピックと比較しても、データベースは「レベル 300」より「レベル 400」のほうが多いので専門性が高い分野と言えそうです。
また、2025/12/09 時点で公開されている YouTube のアーカイブは 37 件です。
AWS re:Invent 2025 – Databases – YouTube
※レベル 400 は太字
- Web3 + AI: Agents that mean business (DAT318)
- A tale of two transactions (DAT455)
- Video sampling & search using ElastiCache & multimodal embeddings (DAT433)
- Autonomous Web3 agents on AWS (DAT457)
- Supercharge app intelligence using gen AI with Amazon DocumentDB (DAT313)
- Deep Dive into Deloitte’s Amazon Neptune GenAI Security Intelligence Center (DAT446)
- DynamoDB: Resilience & lessons from the Oct 2025 service disruption (DAT453)
- Build serverless chatbots using Amazon ElastiCache & Aurora PostgreSQL (DAT314)
- Symbolic AI in the age of LLMs (DAT443)
- Cut costs & operate efficiently on Amazon RDS for SQL Server & Oracle (DAT325)
- Deep dive into databases zero-ETL integrations (DAT445)
- Amazon Aurora HA and DR design patterns for global resilience (DAT442)
- How Samsung optimized 1.2 PB on Amazon DynamoDB with zero downtime (DAT323)
- Multi-Region strong consistency with Amazon DynamoDB global tables (DAT440)
- Using generative AI to accelerate database modernization with AWS DMS (DAT420)
- A practitioner’s guide to data for agentic AI (DAT315)
- DraftKings: Scaling to 1M operations/min on Aurora during Super Bowl (DAT320)
- Revealing the northern lights: Amazon Aurora security deep dive (DAT456)
- Advanced data modeling for Amazon ElastiCache (DAT438)
- Advanced data modeling with Amazon DynamoDB (DAT414)
- [NEW LAUNCH] Deep dive into AWS Database Savings Plans (DAT326)
- Coding an MCP server for Amazon Aurora (DAT429)
- Deep dive into Amazon Aurora and its innovations (DAT441)
- An insider’s look into architecture choices for Amazon DynamoDB (DAT436)
- Scaling MONOPOLY GO! to millions with DynamoDB & ElastiCache (DAT324)
- Deep dive into Amazon Aurora DSQL and its architecture (DAT439)
- Optimize agentic AI apps with semantic caching in Amazon ElastiCache (DAT451)
- Boost performance and reduce costs in Amazon Aurora and Amazon RDS (DAT312)
- Dive deep into Amazon DynamoDB (DAT435)
- Deep dive into Amazon DocumentDB and its innovations (DAT444)
- PostgreSQL performance: Real-world workload tuning (DAT410)
- Better, faster, cheaper: How Valkey is revolutionizing caching (DAT458)
- Using graphs over your data lake to power generative AI applications (DAT447)
- Optimizing for high performance with Amazon ElastiCache Serverless (DAT437)
- Binge-worthy: Netflix’s journey to Amazon Aurora at scale (DAT322)
- Data modeling core concepts for Amazon DynamoDB (DAT311)
- Amazon Aurora DSQL: A developer’s perspective (DAT401)
今回は、データベースの再生リストからおすすめのセッションを 3 つご紹介します。
DynamoDB: Resilience & lessons from the Oct 2025 service disruption (DAT453)
2025 年 10 月 20 日に発生した障害について解説されているセッションです。
AWS re:Invent 2025 – DynamoDB: 2025 年 10 月のサービス中断からの回復力と教訓 (DAT453) – YouTube
書き起こし記事
re:Invent 2025: DynamoDB 2025 年 10 月障害の根本原因分析と TLA+による検証
セッションの概要
このセッションでは、2025 年 10 月 20 日のサービス中断の原因となった Amazon DynamoDB DNS 管理システムのアーキテクチャについて説明します。DynamoDB チームがこの出来事から得た教訓を共有し、これらの洞察をどのように活用して DynamoDB と AWS の両方を改善しているかについて説明します。構築するシステムに適用できる実用的な知識を得ることができます。
セッションの感想
以下通り、当時の障害について AWS から情報が公開されていますが、かなり内部のアーキテクチャに触れているため、理解するのは難しいです。
米国東部(バージニア北部、US-EAST-1)リージョンにおける Amazon DynamoDB サービス中断の概要
カテゴリーとしてはデータベースになっていますが、DNS の話や Amazon Q を使った事後調査の話、改善アクションについて詳しく語られているセッションになっています。
そのため、データベース以外にもかなり学びのあるセッションでした。
Deep dive into Amazon Aurora DSQL and its architecture (DAT439)
Aurora DSQL のアーキテクチャについて詳しく解説されているセッションです。
AWS re:Invent 2025 – Deep dive into Amazon Aurora DSQL and its architecture (DAT439) – YouTube
書き起こし記事
re:Invent 2025: Amazon Aurora DSQL の接続管理とクエリプロセッサアーキテクチャ詳解
セッションの概要
Amazon Aurora DSQL は、数十年にわたる Amazon のイノベーションと運用上の卓越性を活用したサーバーレスの分散 SQL データベースです。このセッションでは、Aurora DSQL を新しいアプリケーションや最高レベルの耐障害性を必要とするアプリケーションに最適な選択肢にする設計と主要な革新的テクノロジーについて詳しく説明し、Aurora DSQL のアクティブ/アクティブアーキテクチャが単一および複数のリージョンの耐障害性と実質的に無制限のスケールを実現する方法について説明します。
セッションの感想
去年の re:Invent や今年の AWS Summit Japan でも、Aurora DSQL について解説するセッションはありましたが、それよりも内部のコンポーネントにフォーカスして解説されていたセッションです。
Deep dive into Amazon Aurora and its innovations (DAT441)
Aurora の各種機能について解説されているセッションです。
AWS re:Invent 2025 – Deep dive into Amazon Aurora and its innovations (DAT441) – YouTube
書き起こし記事
re:Invent 2025: Amazon Aurora の 10 周年記念、アーキテクチャと I/O-Optimized 等の新機能解説
セッションの概要
コンピューティングとストレージを分離する革新的なアーキテクチャと、Amazon Aurora Global Database や低レイテンシーのリードレプリカといった高度な機能を備えた Aurora は、リレーショナルデータベースの本質を根本から覆します。Aurora は、クラウド向けに構築されたサーバーレスリレーショナルデータベースサービスであり、MySQL、PostgreSQL、DSQL において、比類のないパフォーマンスと可用性をグローバル規模で提供します。このセッションでは、新機能に加え、サーバーレス、I/O 最適化、ゼロ ETL 統合、MCP 統合、ベクトル検索とストレージのための生成 AI サポートなど、Aurora の最も人気のあるサービスについて詳しく解説します。また、画期的な Aurora DSQL エンジンについてもご紹介します。
セッションの感想
「今さら Aurora?」と思われるかもしれませんが、Aurora も日々アップデートされています。
そのため、このタイミングで改めて Aurora をキャッチアップしてみてはいかがでしょうか。
データベースとしての機能だけでなく、データ分析で便利な「ゼロ ETL 統合」、生成 AI の連携で登場する「MCP 統合・ベクトル検索」など、最先端のトピックも紹介されています。
まとめ
データベースのアップデート/セッションを紹介しました。
- サーバレスにも対応し最大 35%のコスト削減が可能な「Database Savings Plans」が発表されました
- データベース関連セッションはレベル 400 の割合が多く、より高度で専門的な内容でした
- 新しいサービスの Aurora DSQL や、話題の生成 AI に関するセッションが多かったです
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Follow @twitter2021年新卒入社。インフラエンジニアです。RDBが三度の飯より好きです。 主にデータベースやAWSのサーバレスについて書く予定です。あと寒いのは苦手です。
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