新人データサイエンティストでもAWS Certified Big Data – Specialtyに一発合格できる勉強法
こんにちは。データサイエンスチーム tmtkです。
数学専攻として学校を卒業し、データサイエンティストとして当社に入社してから1年ほどが経ちました。このたび「AWS Certified Big Data – Specialty」という認定試験を受験し、IT業界やデータサイエンス領域では新人の私でも無事に一発で合格することができました。
この記事では、AWS Certified Big Data – Specialty(AWS 認定ビッグデータ – 専門知識)に合格するための勉強法を説明します。
以下は2018年4月時点での情報です。
AWS 認定ビッグデータ – 専門知識とは
AWS 認定ビッグデータ – 専門知識とは、Amazon Web Services(AWS)が実施している認定試験のひとつで、AWS上でのビッグデータの取り扱い能力を証明できる試験です。公式サイトでは以下のように説明されています。
AWS 認定ビッグデータ – 専門知識は、データから価値を引き出すことを目的として AWS のサービスを設計および実装するための技術スキルと経験を認定します。この試験は、複雑なビッグデータ分析を実行できる個人が対象で、個人の次の能力を認定します。
- 基本アーキテクチャのベストプラクティスに従ってコアとなる AWS のビッグデータ関連サービスを実装できる
- ビッグデータを設計および管理できる
- ツールを活用してデータ分析を自動化できる
この試験を受験するためには、「AWS 認定クラウドプラクティショナー」または3種類のAWS アソシエイトレベルの認定のうちいずれかを前もって取得しておく必要があります。試験時間は170分で、日本語の試験は用意されておらず、英語で受験する必要があります。受験費用として3万円ほどかかります。問題形式は選択問題です。(正確かつ最新の情報は、公式のウェブサイトをご覧ください。)
他の試験には用意されている模擬試験もBig Data – Specialtyには用意されておらず、模擬試験で力試しなどをせずにぶっつけ本番で3万円と3時間を投じて本試験を受験しなくてはなりません。
試験の難易度について
私はこの試験を受ける前に「AWS 認定デベロッパー – アソシエイト」に受験し合格したのですが、その試験と比べてもBig Data – Specialtyはかなり難しいと思います。認定デベロッパーの問題は答えがすぐにわかる問題が多かったのに対して、Big Data – Specialtyの問題は問題文をよく読んでよく検討しないと解答が導けない問題が多かったです。
受験者も認定デベロッパーなど他試験と比べて少ないのか、世間の教材の量など、学習環境もまだ整っていないと思います。そのため、取り組むのがより難しい試験となっています。
また、試験問題の英語もそれなりに難しいので注意する必要があります。私は英語の教材でこの試験の対策をしましたし、TOEIC Listening & Reading TestでReadingセクションは満点が取れますが、それでもこの試験の問題文に2、3箇所よく読み取れない部分がありました。英語に自信がない場合は、英語の勉強をしてから受験するか、日本語版の試験が用意されるのを待つ必要があります。
勉強法について
試験勉強にあたって、なるべく低コストで勉強をすることにしました。具体的には、Big Data on AWSというトレーニングがAWS公式で提供されていますが、これは210,000円も必要なため利用しないことにしました。
結果としては、費用面は受験料込みで5万円程度、時間面では約3ヶ月で合格できました。費用内訳としては、試験対策のためにA Cloud Guruに3ヶ月間加入したのとLinux Academyに2ヶ月間加入したのをあわせて$170程度、それに加えて受験料が3万円程度で、あわせて5万円程度です。勉強を始めてから合格するまでに期間的には約3ヶ月ほどかかりましたが、実際に勉強していたのは2ヶ月程度です。
また、なるべく最短距離で試験の合格に向かって勉強することにしました。理想をいうと、試験に合格するためにした勉強を通じて実践に使える知識がつくという形が望ましいのですが、私は実践のことを考えず試験合格のための勉強に集中することにしました。公式ページには受験適格者として「データ分析分野における 5 年以上の実務経験」をもつ人というのが挙げられています。単純に考えると、試験合格に目標をしぼらずに勉強をした場合、私のような新人の場合は5年以上の勉強期間が必要になってしまうのではないでしょうか? それでは時間がかかりすぎて困ります。
それでは、以下で勉強法について解説します。
試験を知る – 公式サイト
一般論として、試験の対策をするにあたっては、その試験についてよく知っておくことが重要です。このAWS Certified Big Data – Specialty試験では、以下の文書を読んで試験についての情報収集をします。
公式ページには、試験概要と学習参考資料のリストが載っています。試験概要は先ほど説明したとおりです。学習参考資料に載っている資料を試験勉強に使います。
試験ガイドについては、「Exam Content」に「Unanswered questions are scored as incorrect; there is no penalty for guessing.(回答しなかった問題は不正解として扱われる。推測で答えても罰則はない。)」と書いてあるので、よくわからない問題も何かしらの選択肢を選んで回答します。「Content Outline」を見ると、「Domain 6: Data Security 20%」と書いてあり、データセキュリティに関する問題が一番多いことがわかります。暗号化やデータ管理や法規制への対応について知っておく必要があります。
サンプル問題を解いておきましょう。対策し始めのこの時点でよくわからなかったとしても、どんな問題が出るのかを知るためにも、一通り目を通しておくことが重要です。どんな問題が出るかわからないと対策のしようがありません。サンプル問題を見ると、Amazon S3、Amazon Redshift、Amazon Kinesis Streamsなどが重点的に出題されそうです。他にも、AWS IAM、Amazon DynamoDB、Amazon RDS、Amazon Machine Learning、Amazon Mechanical Turk、Amazon Cognito、Amazon EBS、Amazon EC2、Amazon KMS、Amazon Kinesis Firehose、Amazon VPC、AWS CloudHSMなどのキーワードが出てきています。このあたりのサービスについて勉強すればよさそうです。
試験を知る – 非公式サイト
公式サイトに限らず、試験についてAWS以外が発信している情報も活用することができます。
A Cloud Guruというウェブサイトがあります。このサイトはAWS、GCP、Azureなどに関する講義コンテンツを配信しています。
A Cloud GuruにAWS Certified Big Data – Specialtyの対策コースがあり、これに併設される形でDisscussion Roomがあります。このDisscussion Roomでは、合格した多数の受験者が勉強法を共有しています。試験に対する情報収集のためにもぜひ読んだほうがいいです。
re:Invent 2017の動画
AWS re:Invent 2017: Big Data Architectural Patterns and Best Practices on AWS (ABD201)ははじめに見ておくといい動画です。AWSのビッグデータ関連サービスの使いどころについての説明や、Amazon S3とAmazon DynamoDBの比較などがあり、参考になります。
Big Data Technology Fundamentals
試験の公式ページで学習参考資料として挙げられているBig Data Technology Fundamentalsは、Hadoopについての知識があまりない場合におすすめです。
これはAWSが提供する無料のe-learningコースで、Hadoopアーキテクチャの説明やHadoopエコシステムの説明があります。私は業務でApache Sparkは何度も使っていたのですが、このトレーニングによってHadoopやYARNの理解が進みました。
ホワイトペーパー
試験の公式ページで学習参考資料として「ホワイトペーパー」が挙げられていますが、ホワイトペーパーは数が多すぎます。個人的には、Big Data Analytics Options on AWS(日本語版はこちら)がおすすめです。AWSのビッグデータ関連サービスを一望できます。
Qwiklabs
QwiklabsのBig Data on AWSというクエストもおすすめです。Amazon Redshiftなどをハンズオン形式で学ぶことができます。
Qwiklabsが提供するハンズオン用AWS環境を利用するためにはQwiklabsに代金を支払う必要がありますが、資料を見ながら自分のAWS環境で実習する分には無料でQwiklabsの資料を使うことができます。
A Cloud Guru
先述したA Cloud GuruのAWS Certified Big Data – Specialtyの対策コースも教材として使うことができます。料金には変動がありますが、現時点では買いきりで$99か月々$20.75かで選べます。
私は教材動画を半分ほど見て、問題はすべて繰り返し解きました。
後述するLinux Academyと比べて、Quizの難易度が低く、カバーしているサービスも少ない印象です。Big Data – Specialtyの対策には、どちらかというとLinux Academyのほうがおすすめできます。
Linux Academy
Linux Academyというクラウドのトレーニング教材を提供しているサイトがあります。先述したA Cloud Guruと同じように、こちらもAWS Certified Big Data – Specialty用の対策講座を提供しています。この対策講座が特におすすめです。料金は月々$49です。
この講座はカバーするサービスの数と問題の質に優れています。また、Linux Academyから提供されるAWS環境でハンズオンをおこなうこともできます。
AWS 公式ドキュメント
各サービスの公式ドキュメントは、一次情報源として重要です。なんでも載っていますが、すべて読むのは大変です。試験対策という観点でいえば、これまで挙げた学習資料で勉強しててわからないことが出てきたときに参照する程度で十分だと思います。
受験する
以上の試験対策をしたころには、合格が見えていると思います。
個人的なアドバイスとしては、財布が許すなら、早めに一度受験したほうがいいと思います。
時間は貴重な資源なので、不安に任せて勉強をいつまでも続けるよりも、一度は不合格になることを覚悟して受験しましょう。不合格になったとしても、どんな問題が出るか知ることができます。模擬試験もなく情報も少ないBig Data – Specialty試験においては、試験でどのような問題が出るか知ることは非常に重要なことです。
それでは、健闘をお祈りします。
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