AICによるARモデルのモデル選択

Data Science

2019.2.28

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こんにちは。データサイエンスチームのtmtkです。
この記事では、AICによるARモデルのモデル選択について説明します。

背景

前回の記事では、時系列解析の入門としてARモデルを紹介しました。そこでは、パラメータのうち次数mの推定という課題が残っていました。
次数mは増やせば増やすほど、既存のデータに対する適合性はあがりますが、増やしすぎると未知のデータに対する予測性能が悪くなることが知られています。この現象は過学習や過適合とよばれます。
AIC(An Information CriterionまたはAkaike Information Criterion、赤池情報量規準)というのはARモデルの“ちょうどいい”次数mを見つけるのに使える指標です。

AICとは

AICについての詳細は各種書籍にゆずることにし、ここでは簡単に定義と結論だけ述べます。
AICは

 \mathrm{AIC} = -2l(\hat\theta) + 2k
で定義されます。ここで、変数\thetaはモデルのパラメータ、\hat\theta\thetaの最尤推定量、関数l(\theta)は対数尤度関数、kはモデルのパラメータの数です。
\frac{\mathrm{AIC}}{-2N}は平均対数尤度\mathrm E_Y \log f(Y\mid \hat\theta)の近似的な推定量になっているため、\mathrm{AIC}を最小にする次数mを選択することで、最適なモデルを選ぶことができるとされています。

ARモデルのAIC

それでは、実際にARモデルのAICを計算し、最適なモデル選択をしてみます。
データとして、コサインカーブに正規分布ノイズを加えたデータを使います。

import numpy as np
np.random.seed(1234)
N = 200
std = 0.2
x = np.arange(0, N)
y = np.cos(x*np.pi/10) + np.random.normal(0, std, N)

200個のサンプルのうち、最後の20個のサンプルy_{180}, \ldots, y_{199}はテスト用データセットとしてホールドアウトしておき、残りの180個のデータに対し、ARモデルを作成します。次数mを1から50まで変化させたとき、AICは以下のように変化します。

次数 m = 14のモデルがAIC最小を達成するモデルだとわかります。次数がm = 1, 5, 14, 50それぞれの場合に対して、y_0, \ldots, y_{179}とARモデルからy_{180}, \ldots, y_{199}を推定したものをプロットしてみます。 m = 1, 5の場合とくらべると、明らかにm = 14の場合はよいモデルになっていることがわかります。

AICとホールドアウト法

以上で、AICによるARモデルの選択を説明しました。機械学習の文脈では、モデル選択の方法として、ホールドアウト法やそれを発展させた交差検証法(Cross Validation)がよく使われていると思います。そこで、AICによるモデル選択と、ホールドアウト法によるモデル選択の関係を実験的に調べてみます。
上の実験と同様の状況で、各次数mに対するAICと平均二乗誤差(Mean Squared Error)の関係を調べます。平均二乗誤差は、y_0, \ldots, y_{179}からARモデルで予測した\hat{y_{180}}, \ldots, \hat{y_{199}}と、実際のy_{180}, \ldots, y_{199}を比べて計算します。
AICと平均二乗誤差をプロットすると、以下のようになります。

AICが小さくなるほど平均二乗誤差も小さくなる傾向を読み取ることができます。したがって、この場合はAIC最小のモデルを選ぶことと、ホールドアウトしたデータセットに対する平均二乗誤差が最小になるモデルを選ぶことは、おおむね同じことになります。

まとめ

この記事では、AICを説明し、AICを使ってARモデルの次数選択を行いました。
また、AICが小さいモデルほど、予測誤差が小さくなる傾向を、実験的に確認しました。

参考文献

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tmtk

データ分析と機械学習とソフトウェア開発をしています。 アルゴリズムとデータ構造が好きです。

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