AWSとWordPressで企業Webサイトを構築する

AWS

2019.5.16

Topics

企業がWebサイトを利用して情報を発信することは、もはや当たり前といえる時代になりました。さらにWordPressのようなオープンソースのプログラムで、Web上のコンテンツの制作や管理を行うツールの普及により、情報更新も内製で対応可能になりました。しかし、ここで一点注意すべきことがあります。そのWordPressをどのようなインフラで運用するかということです。一般的に利用できるレンタルサーバーでは、企業のWebサイトの運用には限界があることを認識しておくべきでしょう。今回は、世界シェアNo.1無料のCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の「WordPress」を、AWSで運用した場合のメリットについてご紹介いたします。

企業WebサイトWordPressを運用する際のインフラ(サーバー)の課題とは

もはやビジネスのうえでは欠かせなくなったWebサイトの活用。その構築や運用を簡易にできるのがCMSのWordPressです。操作性、管理性は簡易的であっても、その裏でWebサイト上の情報を支えるサーバーについては、それなりのスペックと運用が求められます。

WordPressで運用する企業サイトをレンタルサーバーで運用する課題

便利なWordPressですが、企業で利用するにはまず運用する基盤であるインフラ、レンタルサーバーの問題があります。個人のブログとは異なり、Webサイト上で公開、更新される情報量は膨大になるので、サーバー負担も大きくなります。情報が増えるのに伴い、メモリの容量、データ転送量、PHP(汎用プログラミング言語)の処理速度の速さが求められるのです。もしこの課題がクリアされなければ、ページ表示が遅くなるなどでユーザーの不満を高めてしまうことになります。また、アクセスが集中することで、サーバーがダウンする可能性も否めません。これらに対応するためには、システムの冗長化を設定するなどの負担もあるでしょう。コンテンツマーケティングをオウンドメディアで行う場合やオンラインストアなどの同時アクセス数が多い、中規模以上のWebサイト運用を考えているのなら、なおのことレンタルサーバーの限界に行きつきやすくなります。

AWSでWordPressを構築・運用するメリット

そこで、AWSでのWordPressを構築するメリットを見てみましょう。AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)は、Amazonが提供しているパブリッククラウドサービスで、サーバーやストレージ、その運用のためのツールなどのITインフラストラクチャーを企業に提供するサービスです。

AWSで構築するメリット

AWSにはWordPressの提供からその運用を支えるサーバー、セキュリティ対策までがひとつになっていることが大きな特長となります。そのメリットを、3つのポイントで示すと次のようになります。

  • 簡単なインストールとセットアップ
    「Amazon EC2」ではAWSの管理画面またはサードパーティーのウェブサイト上から「Amazon Machine Image(AMI)」でWordPressのパッケージを選択し、数クリック操作するだけですぐに利用できます。
  • WordPressのために最適化されたサーバー環境
    上記でセットアップした環境ではすでにNginxやリバースプロキシCacheによるキャッシュコントロール、MySQLの調整が済んでいますので、WordPressに最適化された環境でコンテンツ公開を行えます。またEC2ではHVMインスタンスやSSDのブロックストレージをAWS無料利用枠から始めることもできます。実際に運用をしつつ、拡張や縮小が随時可能になるわけです。
  •  AWSのセキュリティ基準
    企業のWebサイトは外部環境との接点となるので、セキュリティ対策が欠かせません。その点でも、AWS上で提供されるWordPressは、高いレベルのセキュリティ要件を満たしたAWSのデータセンターをはじめ、継続的なモニタリングや自動化されたセキュリティツールで、高い信頼性と可用性のもとでの運用が可能です。さらにログインの履歴管理や、暗号解読方法のひとつであるブルートフォースアタックへの対策などの2段階認証機能も標準で搭載されているので、より安全なWordPress環境がワンストップで構築・運営できます。AWSとWordPressの利用者であるコンテンツを制作・運用する側は、このメリットを活かして、WordPress自体のセキュリティ対策に集中することができます。

このほかにも、AWS Marketplace(AWSユーザーのためのオンラインストア)では、事前設定済みのWebサイトアプリケーションやテンプレートがベンダーから提供されています。AWSに最適なものとなりますので、将来、Webサイトの機能を拡大する必要があったとしても、AWSを活用することで多くの利点があるのです。

AWSで運用するメリット

AWSを利用することで専用サーバーを用意する必要はありませんし、また一般的なレンタルサーバーでは対応の難しいオートスケーリング機能をAWSでは利用でき、予想外のアクセスの増加などにも対応が可能です。

さらにコンテンツを配信するうえでは速度も重要です。Amazon CloudFrontは、高速コンテンツ配信ネットワーク(CDN)サービスです。コンテンツをCDN経由で提供することでWebサイト利用者はストレスなく、画像や動画の豊富なサイトで情報を入手することが可能になります。

また、Webサイトの停止も、企業としてはイメージ的に大きなダウンとなります。もちろんECサイトなどの運用ならば、大きな商機の損失となります。Amazon EC2のSLA(サービスレベル利用規約)は99.95%の可用性であり、それはWebサイト運用上でも大きな安心材料となるでしょう。

AWSを利用してWordPressサイトを立ち上げる方法

それでは、具体的にAWSでのWordPressのインストール方法から見ていきましょう。

AWS Marketplaceを利用する

Amazon EC2を使った、WordPressによるWebサイトの構築、そしてコンテンツの公開までが、簡単かつスピーディーに行える方法をご紹介します。

まずAWSの無料アカウントを作成します。AWS MarketplaceからWordPressを選択し、AWSの管理画面で必要項目の設定をすれば、もうコンテンツの公開が可能な環境が構築できてしまいます。この間、わずか10分程度で済みます。

例えば、WordPress powered by AMIMOTO(HVM)AMIならば、WordPressが実装されたサーバー環境とともに、バージョン管理、データベース管理、サーバー監視などの開発ツールもインストール済みですので、構築、運用管理の双方が、ツールの選択に悩むことなく得られます。

簡単だけではなく拡張性も

AWSでWordPressを利用すると、WP-CLIを使ったコマンド操作、Monitによる監視、Amazon S3のストレージとの連携やコンテンツの高速化を簡単に実装可能です。Webサイトで必要とされる情報が増えるたびに、容量や速度の問題に対処するわずらわしさからも解放され、将来の拡張性も約束されるのです。

リーズナブルな料金体系、無料枠の利用

WordPressで使うことが多いAmazon EC2の場合、1時間当たり1.43円、月額1,030円前後(1 USDを110円で換算した場合)というコストパフォーマンスの高さです。そして、AWSを利用する場合の共通するメリットのひとつである、「初期費用なし」、「利用しただけの請求」という料金と請求の体系は、Webサイトの運営にも生かされています。企業のWebサイトは時期により扱うデータ量が変動するものです。常に余裕のある容量で一般のレンタルサーバー等を借りると、使っていない分が余分なコストとして無駄に消費されていることになります。その点AWSならば、利用した量に従った従量制の課金なので、使わない期間はコストを抑えることができるわけです。

そして、AWSのサービスのいくつかにある「無料枠」が、WordPressによるWebサイトの運営でも利用できます。AWSから新規に始める利用者には、条件等で無料枠の期間や扱えるデータ量は異なりますが、使い勝手を試してみる範囲ならば十分であると言えるでしょう。

本格的なWebサイト運営にAWSの活用を

人手不足の今、すべてに専門のIT技術者を当てるのは難しい時代です。Webサイトの運用における画面作成や情報の入力は、WordPressにより専門知識がなくてもできる時代になりました。そして、企業のWebサイトでもっとも重要な可用性と拡張性が確保できるAWSでそのデータの基盤を支えれば、より本格的なWebサイトの運用にたえられるシステムを作り上げることができるのです。

※本記事の内容につきましては2019年4月時点での情報です。

テックブログ新着情報のほか、AWSやGoogle Cloudに関するお役立ち情報を配信中!

編集部

AWSを中心としたクラウドインフラやオンプレミス、ビッグデータ、機械学習などの技術ネタを中心にご紹介します。

Recommends

こちらもおすすめ

Special Topics

注目記事はこちら