Nano Banana Pro の著作権と安全な使い方
2025.12.12
この記事は NHN テコラス Advent Calendar 2025 の 12 日目の記事です。
はじめに
こんにちは、Shunです!
11/20 に Google から Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)が発表されました!
※Nano Banana は愛称であり、正式名称は Gemini 3.0 Pro Image となり、Gemini の基盤モデルの1つとなっております。
以前、Nano Banana(Gemini 2.5 Flash Image)が登場した際も、SNS で自身の写真をフィギュア化する投稿が流行しましたよね!
(実はあれがNano Bananaです!)
この記事では、「Nano Banana Proとは何か?」という基本から、安全に利用するための注意点まで、解説していきます!
Nano Banana Pro とは
まず、「Nano Banana Pro」を理解する上で欠かせない、その前身モデル「Nano Banana」について見ていきましょう。
このモデルは、2025年8月に Google より発表されました。
最先端の画像処理モデル Gemini 2.5 Flash Image のご紹介
Nano Banana は、従来のモデル(Gemini 2.0 Flash)と比較して、主に以下の点がパワーアップしました。
- 複数の画像を合成して1つの画像を生成する
- 人物の一貫性を維持
- 自然言語によってターゲットを絞った画像編集の実行変換
そして、2025年11月20日、Google は最新の基盤モデル「Gemini 3 Pro」の発表直後に、「Nano Banana Pro」を公開しました。
「Nano Banana Pro」は「Nano Banana」に比べて、以下の点が大幅にパワーアップしました。
テキスト精度の大幅向上
従来のモデルでは、プロンプトで指示しても、画像内の日本語が不自然になったり(例:中国語や韓国語が混じる)、そもそもテキストが反映されなかったりする課題がありました。
Nano Banana Pro では、この点が大幅に改善され、簡単かつ高精度に日本語テキストを生成できます。
キャラクター一貫性の大幅向上
今回のアップデートにより、最大14キャラクターもの一貫性を維持できるようになりました。
これにより、簡易的な漫画であれば Nano Banana Pro だけで作成が可能になりました。
クリエイティブコントロール
Nano Banana Pro では、写真の一部を選択し、調整・修正を高精度で実行できるようになりました。
例えば、被写体を撮影したアングルの変更やポートレート風にするために、フォーカス箇所の変更、そして撮影シーンの昼夜逆転などライティングの変化が可能です。
参照: Introducing Nano Banana Pro
ちょうど最近 re:Invent があったので、試しに以下のブログを4コマ漫画風にしてもらいました。

ブログの内容をそのまま渡し、4コマ漫画風にして。と言うだけでこのクオリティです。
一部、企業ロゴなども出力されてしまったので、そこだけ「著作物に引っかかるものは削除して」と伝え、除外してもらいました。
このように、画像内の編集も自然言語で簡単に行えるのが大きな魅力です。
とはいえ、企業ロゴなど著作権に引っかかってしまうものが出力されるのは、不安ですよね。
次の章では、そうした不安を解消するため、Nano Banana Pro の著作権や商用利用について詳しく見ていきましょう。
著作権/知的財産権について
Nano Banana Pro を安全に活用する上で、著作権や知的財産権の扱いを理解することは不可欠です。
現在、Nano Banana Pro は以下のプラットフォームから利用可能です。
- Vertex AI
- Google Workspace with Gemini
- Google AI Studio
- Gemini アプリ
ここからは、企業向けとして活用されることが多い、Vertex AI での扱いを中心に見ていきましょう。
著作権
まず、前提として Nano Banana が出力した画像は誰の著作物になるのか?という点です。
Google Cloud上で利用可能なVertex AIの規約では、以下のように記載があります。
知的財産権。本契約に明示的に規定されている場合を除き、本契約は、いずれの当事者にも、他方当事者のコンテンツまたは知的財産に対するいかなる権利(黙示的か否かを問わず)も付与するものではありません。両当事者間において、お客様はお客様データおよびお客様アプリケーションに関するすべての知的財産権を保有し、Googleは本サービスおよびソフトウェアに関するすべての知的財産権を保有します。
出典: Google Cloud 利用規約
この規約により、例えばお客様が Google のサービス上で作成したデータやアプリケーションの権利を Google が主張したり、逆に Google が提供するサービスの技術をお客様が自社のものとして主張したりすることができないようになっています。
また、Gemini API(Google AI Studio)は以下のようにドキュメントを提供しています。
本サービスの一部では、使用者によるオリジナル コンテンツの生成が許可されています。Google がそのコンテンツに対する 所有権を主張することはありません。使用者は、Google が同一または類似のコンテンツを他者に対して生成すること、および そのために必要なすべての権利を留保することに同意するものとします。
出典: 生成されたコンテンツの使用
要約すると、「生成したコンテンツの所有権は Google にはありません。ただし、Google は類似のコンテンツを他のユーザーのために生成する権利を保持します」ということです。
いずれも、Google がコンテンツの権利を保有しているわけではないと明示的に記載があります。
知的財産権の補償
では、万が一生成した画像が第三者の著作権を侵害してしまった場合、その責任は誰が負うのでしょうか?
原則として、その責任を問われるのは Google ではなく利用者自身です。
そういったケースに備え、Google Cloud では「知的財産権の補償」制度を設けています。
Google の補償義務。Google は、本契約に従って使用されるサービスまたは Google ブランドが第三者の知的財産権を侵害しているという主張に起因する範囲において、お客様のアカウントでサービスを利用するお客様およびその関連会社を、第三者によるあらゆる法的手続きにおいて補償責任から弁護し、補償するものとします。
出典: Google Cloud 利用規約
もちろんですが、意図的に知的財産権の侵害を行った場合は、補償の対象外です。
参照: 生成 AI の使用禁止に関するポリシー
この補償は、Vertex AI 経由で Nano Banana や Nano Banana Pro で生成された画像に適用されます。
重要な注意点として、この補償は Google Cloud(Vertex AI)の利用規約に基づくものであり、Gemini アプリや Google AI Studio の利用規約には同様の補償条項は含まれていません。
実際に、Google からも「Nano Banana を商用利用する際は、Google Workspace with Gemini もしくは Vertex AI を利用してください」と案内があります。
※ 広告利用含む商業利用でNano bananaを利用する場合は、Google Workspace with Gemini もしくは Vertex AI をご利用ください。
出典: Gemini の Nano Banana で、画像生成をもっと楽しく、自由自在に!
しかし、これらのこの補償を受けるためには、コンテンツが Vertex AI 上で生成されたことを証明する必要があります。
それは、どのように実現されているのかを次章で見ていきましょう。
コンテンツのウォーターマーク
Nano Banana で作成されたコンテンツには、「SynthID」という技術によって、AI による生成されたコンテンツであることを識別するためのウォーターマーク(電子透かし)が施されています。
これにより、Nano Banana から出力されたコンテンツであるという証明や、フェイクニュースや偽情報の拡散を防ぎ、コンテンツの透明性を高めることができます。
SynthID は、Vertex AI の Media Studio から試すことができます。

先ほどご紹介した画像をアップロードすると、SynthID が検出されます。

SynthID は、画像に限らず、動画や音声、テキストでも検出が可能です。
また、AI によって生成された箇所、生成されていない箇所、曖昧な箇所も検出が可能となっております。

出典: SynthID Detector — a new portal to help identify AI-generated content
まとめ
今回は、「Nano Banana Pro」について、その進化点から具体的な活用例、そしてビジネスで安全に利用するための著作権の知識までを網羅的に解説しました。
Nano Banana Pro は、テキスト精度の向上やキャラクターの一貫性維持といった進化により、出力された画像をそのまま商用利用できるほどのクオリティとなりました。
一方で、その利便性の高さから、意図せず知的財産権を侵害してしまうリスクも伴います。
そのため、著作権や商用利用のルールを正しく理解することが、これまで以上に重要です。
最も安心な利用方法は、Google Cloud の知的財産権補償を受けられる Vertex AI 上で活用することです!
ぜひ、著作権や知的財産権に留意しつつ、楽しい Nano Banana ライフをお過ごしください!
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