【セッションレポート】三井住友トラスト・アセットマネジメントが Snowflake と実現する、AI エージェントをフル活用した業務改革 #AWS Summit Japan 2026

AWS

2026.8.5

Topics

はじめに

こんにちは。Cold-Airflow です。
本記事は、AWS Summit Japan 2026 のセッション「三井住友トラスト・アセットマネジメントが Snowflake と実現する、AI エージェントをフル活用した業務改革」のレポート記事です。

AI エージェントや Snowflake を活用した業務改革に興味がある方はご覧いただくと、とても参考になるセッションだと思います。

なお、本セッションはアーカイブ配信はなく、資料のみ公開されています。
AWS Summit Japan 2026 セッション資料

※本情報は、2026 年 7 月 31 日時点での情報となります。

セッション概要

タイトル

三井住友トラスト・アセットマネジメントが Snowflake と実現する、AI エージェントをフル活用した業務改革(PRT206-S)

スピーカー

上原 玄之 様
Snowflake 合同会社 インダストリー事業開発本部 金融インダストリー統括部長

松本 宗寿 様
三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社 執行役員(DX 推進部担当)

レポート

本セッションは、Snowflake の SKILL という仕組みを軸に、三井住友トラスト・アセットマネジメントが社内の AI 活用をどのように推進しているかが、具体的な事例とともに紹介されていました。

本レポートでは、特に印象に残ったポイントを 4 つに絞ってご紹介します。

  1. Agentic AI とは何か
  2. ビジネスナレッジの Snowflake 表現
  3. SKILL の作り方と実例
  4. PDCA サイクルの全自動化

Agentic AI とは何か

セッションでは、冒頭で Agentic AI の定義と現在の注目度が整理されました。

Agentic AI とは、「目標に向かって自律的に判断・行動する AI」です。
従来の chatbot との違いは以下の通りです。

従来の AI(chatbot) Agentic AI
質問に回答する 目標に向かって自律的に行動
1 回のやり取りで完結 複数ステップを計画・実行
人間が逐一指示 ツールを使い分けて自走

ビジネス実装における核心として、技術の進化そのものよりも「ビジネスデータとビジネスロジックを AI に届ける経路が整備された」ことが最大の変化であると述べられていました。

市場動向についても数字が示されており、Goldman Sachs の調査によると AI トークン消費は 2030 年に 2025 年比 24 倍、2040 年には 55 倍になると予測されています。
また、現状 2 割以下のエンタープライズ比率が 7 割超になると見込まれており、爆発的な拡大が想定されています。

ビジネスナレッジの Snowflake 表現

Agentic AI の性能は LLM 自体の賢さだけでなく、「ビジネスナレッジとビジネスデータ」をいかに AI に伝えられるかで決まるという考え方が紹介されました。

LLM に伝えるべき業務知識を以下の 4 要素に整理しています。

  • データ: データの意味・定義
  • ロジック: ビジネスロジック・分析手法
  • アウトプット: レポート・資料の作成方法
  • プロセス: 業務フロー・承認プロセス

これらを Snowflake でどう表現するかについて、以下のマッピングが示されました。

ナレッジの種類 Snowflake での表現
データの意味・定義 Comment on column / Semantic view
非構造化ドキュメント Chunk table / Cortex search service
ロジック・アウトプット・プロセス SKILL(markdown)

特に「データの意味」をテーブル・カラムのコメントに、「ナレッジ・プロセス」を SKILL に落とし込むことが最重要とのことでした。

SKILL は「動くマニュアル・ドキュメント」とも表現されており、社内規定・マニュアル・過去レポート・メールなど既存の社内資産がそのままナレッジのインプットになります。

ただ、データを格納しただけでは、データが持つ表現と人間が業務で使う表現との間にギャップが生じます。
データに対して適切な意味付けをすることで、AI がデータを正しく理解し、意図した結果を得やすくなります。

SKILL の作り方と実例

SKILL の作り方として、社内にある知識を土台に、業務担当者自身が SKILL を育てるプロセスが紹介されました。

  1. 社内ナレッジ・データの DB 化(社内規定・マニュアル・過去レポート・メール)
  2. 「データ SKILL」を渡す(業務で使うデータの一覧・定義・利用目的を SKILL として整備)
  3. 業務担当者が AI と対話しながら業務を実行(着眼点・判断軸・アウトプットが言語化される)
  4. 対話ログ・試行錯誤がそのまま SKILL の素材に(業務プロセス実現の SKILL として定式化)

ポイントとして、利用するデータの SKILL を渡すだけで自律的にこなすメンバーが頻出するとのことで、従来の内製化と比べて入口のハードルが相当低くなっているようです。

また、「SKILL を作成する SKILL」が SKILL 化をサポートする仕組みもあり、自己増殖的に業務ナレッジが蓄積されていく設計になっています。
慣れていない場合は、SKILL を作るだけでとても苦労しますので、こういった仕組みがあることでとても活用しやすい環境になっていると感じました。

実際に作成された SKILL の例として、企業リサーチ業務では以下のような SKILL が整備されています。

  • 月次データ評価: 月次・公表データを、カレンダー・天気等も勘案した評価フロー
  • 決算レポート: 企業開示資料+過去レポートから、レポーティング形式・投資の着眼点の抽出・評価
  • 取材準備: 開示資料・決算レポート・ニュース・セルサイドレポート等から深堀ポイントの抽出
  • 取材記録作成: 音声含む取材記録のテキスト化->レポート化
  • 朝会発言原稿作成: 書き言葉->話し言葉への転換、発言の着眼点整理

さらに、SKILL を個人の工夫で終わらせないために、Snowflake Workspace の共有ライブラリとして全社展開しています。
部署単位・全社単位でフォルダ分けされており、個人が作成した SKILL が組織全体の資産になる仕組みが整備されています。

PDCA サイクルの全自動化

「テクノロジー活用による業務改革」の管理自体も、Snowflake 上で完全自動化されていることが紹介されました。

  • Plan: DB 化された「業務リスト・打ち手」をもとに、データオンボーディング/ロジック実装ターゲットを特定
  • Do: Snowflake に作成されたオブジェクト(Table/Function/Skill/Agent)と業務リストを自動紐づけし、進捗認識
  • Check: 作成済みオブジェクト・機能の利用状況から、組織への普及度・業務効率化の進展を計測
  • Action: ギャップ分析により、「未オンボーディングデータ」「未実装ロジック」「機能普及策」を提示

まとめ

SKILL の重要性をあらためて感じるセッションでした。
また、Snowflake 上で AI の活用が十二分に行えるということも伝わる内容でした。

世の中的にもモデルは頻繁にアップデートされていますが、このセッションを見ると、SKILL やナレッジを整える方にシフトしているように感じます。
モデルが変わっても業務ナレッジはそのまま活かせるため、投資する場所として理にかなっています。

スキルの作り方はとても参考になりました。
初期のハードルを下げ、業務担当者が AI との対話を通じて継続的にアップデートする仕組みにすることで、使われ続ける仕組みになると感じました。
特に「SKILL を作成する SKILL」でサポートするアプローチは良い手段だと思います。

Snowflake Workspace で SKILL を全社共有しているのも、個人の工夫で終わらせない非常に良い工夫だと思います。

また「テクノロジー活用による業務改革の管理は、自動化されてないと説得力がない」という言葉が印象的でした。
業務改革を推進する組織が自ら自動化を実践しているというのは、説得力がありますし、実際の推進力にもつながると思います。

参考

AWS Summit Japan 2026 セッション資料

Cold-Airflow

2021年新卒入社。インフラエンジニアです。RDBが三度の飯より好きです。 主にデータベースやAWSのサーバレスについて書く予定です。あと寒いのは苦手です。

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