【AWS Summit Tokyo 2018】AWS を使った動画配信入門 レポート

AWS

2018.6.7

Topics

こんにちは。NHN テコラス Webマーケティングチームです。
本記事では、AWS Summit Tokyo 2018 6月1日のTechセッション「AWS を使った動画配信入門」についてレポートします。

セッション紹介と登壇者

石井 悠太
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 技術統括本部 ソリューションアーキテクト
昨今、動画配信の需要が増えてきているなかで、配信基盤としてのクラウドの活用は重要な選択肢となってきています。本セッションでは、動画配信の基本知識 やトレンドから、AWS を使って、信頼性の高い、ブロードキャスト品質の動画ワークフローをクラウド上で簡単に構築できるフルマネージドの AWS メディアサービスおよび、AWS で動画配信基盤を構築する際のアーキテクチャについてご紹介します。
引用元:AWS Summit Tokyo 2018 セッション一覧

セミナー内容

セッションのゴール

  • 動画配信の基礎知識やトレンド
  • なぜクラウド活用するのか
  • AWSメディア配信サービス
  • 動画配信アーキテクチャの例

配信の方式

配信の方式は大きく3種類に分けられます。
オンデマンド配信
収録済みの動画を見たいときに見れる
ライブ配信
ほぼリアルタイムに配信される動画を視聴する
数秒ぐらいの遅延は許容される
リアルタイム配信
テレビ会議、クイズアプリなど遅延が許容されない
今回は上記の中でもオンデマンド配信とライブ配信について解説いただきました。

技術的な動向

動画の配信技術3種類についてもそれぞれ、メリット・デメリットがあります。
専用プロトコル
メリット:コンテンツ保護や遅延が少ない、細かい再生制御が可能
デメリット:専用プレイヤー、専用サーバーが必要
HTTPダウンロード
メリット:標準プレイヤーやプラグインで再生可能、WebサーバーでOK
デメリット:VODのみ対応、細かやな再生制御や保護△
HTTPストリーミング
メリット:標準プレイヤープラグインで再生可能、WebサーバでもOK、LIVEOK
デメリット:標準化が現在進行系のため

HTTPストリーミングの概要

HTTPストリーミングは以下のファイルで構成されています。

  • メディアコンテナファイル(2~10秒ぐらいの分割された動画ファイル)
  • マニフェストファイル(時間と対応するメディアコンテナファイルのURIリスト)

トレンド:視聴環境の多様化

  • テレビ・PC・スマートフォンなど視聴環境が多様化している
  • ネットワークも様々になっている
  • マルチビットレートやアダプティブビットレートなど環境に応じた対応が必要

各プラットフォームのサポート状況

  • 配信プラットフォームは、プラグインが必要なものが減っていて、HLSとMPEG-DASHを中心に標準化が進んでいる
  • CMAFへの期待が高まっている

なぜAWSを利用すべきなのか

動画を配信する際の課題として、「マルチデバイス・マルチビットレート」「初期投資/余剰設備」「スパイクアクセス耐性・耐障害性」の3つがあります。

マルチデバイス・マルチビットレート

  • 必要なストレージ、配信サーバ、ネットワーク増、コンピューティングリソースも増える
    • AWSは必要なときに必要なだけ、低価格でサービスを提供している
    • 変換時に必要なコンピューティングリソースも必要なときだけ利用できる

初期投資/余剰設備

  • サービスの成功・成長を正確に見積もるのは困難、配信技術の今後の変更を予測することも難しい
    • AWSなら、上記のような予測に固執せず、従量課金で柔軟に始められる
    • スモールスタートで、成長に合わせてスケールすることができる
      ※AWSの利用料は、ネットワークはダウンロード流量課金、サーバーリソースは稼働時間課金、ストレージは格納容量課金と使っただけの請求になる
  • マネージドインフラによる運用費用の削減
    • 初期投資を抑えて、余剰設備を持たずに運用することができる

スパイクアクセス耐性・耐障害性

  • ライブ配信は開始と同時に一斉にアクセスが発生するため、ライブ配信の失敗はユーザー体験を大きく損なう
    • 十分な帯域のネットワーク(CDN)が必要
      ※AWS が提供するCDNのCloudFrontは、冗長化されたネットワーク、世界100箇所以上のエッジロケーションを有している
  • Design for Failureという考え方に基づき、要件やコストに合わせた選択をすることができる
  • マネージドサービスを従量課金で使える

以上のことから、動画配信サービスを提供する上での、主な課題はAWSで解決できるとのことです。

AWSを利用した動画配信基盤の構築例

オンデマンド配信のAWSをつかったフロー

動画配信で必要なサービス

  • S3
    • 3箇所以上のデータセンター群に保存され、高い耐久性を実現している
    • スケーラブルで安定した性能
    • 容量無制限で1GBあたり約2円/月
  • CloudFront(グローバルな高速コンテンツ配信ネットワーク)
    • レスポンスの向上やオリジンの負荷軽減・保護
    • 世界100箇所以上のエッジロケーションのキャッシュサーバを活用
    • 10TB/月を超える転送料の場合には割引オプションも
  • Elemental MediaConvert(動画ファイルをプロ品質のVODファイルに変換)
    • 初期費用一切不要、出力ファイルの設定及び秒数の従量課金
    • 幅広い入出力および非常に詳細な変換設定をサポート
  • Lambda(イベントをトリガーにサーバレスでコードを実行される)
    • 実行したいコードを用意するだけで、リクエストに応じてコードが実行される
    • 料金はリクエスト回数及び実行時間に応じて従量課金
  • Step Functions(分散アプリケーションとマイクロサービスの構築)
    • ワークフローを視覚的に定義できる、エラー時の再試行や調査にも使える
  • EC2(安全かつスケーラブルな仮想サーバー)
    • 1分からの秒単位で従量課金利用
    • 70以上のスペック、OSを有している

具体的な変換フロー
素材ファイル用S3→変換ジョブ登録Lambda→Elemental MediaConvert→VOD用S3

ライブ配信のAWSをつかったフロー

動画配信で必要なサービス

  • ElementalMediaLive
    • プロ品質のライブストリーミングエンコーディング
    • 高機能で管理が簡単なライブチャンネルを数分で展開可能
  • ElementalMediaPackerge
    • 単一入力をマルチデバイス向けストリームに変換・配信
    • インターネット接続対応の様々なデバイス配信ができる

具体的なフロー
ライブチャンネル→冗長化したデータを幅広いデバイス向けに変換→CDNで配信

まとめ・補足

まとめ

AWSを利用した動画配信基盤について、分かりやすく解説いただきました。
詳細な構成例などは、後日公開されるセミナー動画・スライドを見ていただければと思います。

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編集部

AWSを中心としたクラウドインフラやオンプレミス、ビッグデータ、機械学習などの技術ネタを中心にご紹介します。

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