【セッションレポート】政府の生成 AI 基盤『源内』- ガバメントクラウド上での AI 実装と AgentCore によるエージェント AI への進化- #AWS Summit Japan 2026

AWS

2026.7.1

Topics

はじめに

こんにちは、フクナガです。
今年も 2 日間にわたって AWS Summit Japan が開催されました!
ここ数年は AI が話題の中心となっておりますが、今回も例に漏れず AI に関するナレッジや発表がたくさんありました!

本記事では、最近話題の「源内」に関するセッションについて、ご紹介できればと思います!
「源内ってよく聞くな~、セッションやってるから聞いてみよ!」という興味本位で受講したのですが、
淡々と有益な情報が次々に紹介されていってめちゃくちゃ感動しました!!

ちなみに、本セッションは AWS Summit Japan サイトからユーザー登録いただくことで
アーカイブ視聴が可能なセッションとなっておりますので、気になった方はぜひ見てみてください!
AWS Summit Japan 2026
ユーザー登録はこちらから
※本情報は、2026年6月30日時点での情報となります。

セッション概要

タイトル

政府の生成 AI 基盤『源内』- ガバメントクラウド上での AI 実装と AgentCore によるエージェント AI への進化-

スピーカー

大月 真史 様
デジタル庁 戦略・組織グループ AI実装総括班 クラウドエンジニア

「源内」とは

デジタル庁が構築する生成 AI 利用環境で、政府職員が利用することを想定しています。
参考:ガバメントAI「源内」

行政領域での生成 AI 利活用を推進するという目的で、職員が生成 AI を利用するだけでなく業務特化の生成 AI アプリケーションを追加し気楽に試せるような環境を構築しているそうです。
そういった背景からか公開情報も多く出ていて、読むだけでも非常に勉強になります。

ガバメントAI「源内」をオープンソースとして公開します

「源内」という名前は「Generative AI(生成 AI)」を略した GenAI と、平賀源内から来ているそうで、「様々な生成 AI アプリケーションの発明が集まって欲しい」という願いが込められているそうです。めちゃくちゃいいセンスですよね。
参考:ガバメントAI、プロジェクト「源内」の構想紹介

セッションレポート

このセッションは「エージェントの実装」と「マルチテナントの実現」に関する 2 軸で構成されています。
マルチテナント側の知見もかなり面白かったのですが、本ブログでは 1 つ目の柱にフォーカスして、私視点で共感した点や気になった点をご紹介いたします!
※アーカイブがあるので、内容から一部抜粋してご紹介いたします

(1) ユーザーを考慮した UI 設計

生成 AI を組織へ展開するうえで最も重要な要素のうちの 1 つは「使いやすさ」だと思います。
エージェントを実装するうえで「どのツールを利用したのか」であったり細かな処理というのは開発者視点だと重要ですが、利用者視点ではそこまで重要ではない場合も多いです。
(この記事を読まれる方は気になる方が多いかもですが。。。)

ユーザーにそういった「複雑さ」を見せずに、作業をしているフォルダやファイルの選択ボタン、テキストボックスとシンプルなツールアイコンのみで UI を構成しているというご紹介がありました。
普段私は、生成 AI を使いこなしたいが悩んでいる社員向けのトレーニングなども行っており、「いかにシンプルな機能として見せるか」を大事にしています。
そういった視点で非常に共感できたポイントでした!

(2) エージェント側ではなく、インフラ側で境界を設置

このセッションで最も注目すべきポイントだと感じました!
エージェントのセキュリティとして 3 つのポイントが紹介されていました!

① 「誰」として振る舞えるかをエージェントの外側で決める

Amazon Cognito、AWS Lambda を組み合わせて、ユーザーごとのアクセス境界を実現しているそうです。
具体的には、Amazon Cognito でユーザーの証明書を取得し、その証明書を認可制御の Lambda で検証、それに応じた一時クレデンシャルを返す仕組みになっています。
これにより、ユーザー側が悪意を持ったアクションをとっても自身のアクセス境界外のリソースには到達できないような設計になっています。

例としては、Amazon S3 の Prefix 単位で権限コントロールをしている内容が紹介されていました。

② 外部通信を許可されたドメインに制限する

エージェントが不正なドメインへの外部通信を試みるケースを想定し、インフラ層でそれを制御するという内容が紹介されていました。
AWS サービス群には VPC Endpoint 経由、外部接続(許可されたドメイン)は AWS Network Firewall 経由でのアクセスとなり、そこでアクセス制御を行うという仕組みです。

➂ AWS API 経由でも、組織内のアカウントにしか届かない設定

先ほどの接続設定に加え、AWS リソースについても VPC Endpoint 経由で VPC Endpoint Policy を利用し、接続元・先のアカウント指定によってアクセスをコントロールしているそうです。
参考:
例:VPCエンドポイントから特定のアカウント内のバケットへのアクセスを制限する
エンドポイントポリシーを使用して VPC エンドポイントへのアクセスを制御する

エージェントが騙されないことを構造的に保障することはできない、そのため騙されても危ないことができないようにする、という内容は非常に共感しました。
そういった観点で、今まで我々が培ってきたクラウドセキュリティの基礎は AI 構築においても非常に重要になりそうだなと感じました。

(3) 「LLM が既に知っていることを使え」が context 経済にそのまま効く

エージェントパートのラストで、コンテキストの節約について言及していました。
エージェントを構築するうえでツールを独自で作り、それを利用することも可能ですが、「ls」「cat」などの世の中で一般的に利用されるツールを利用するように設計することでツールを説明するためのトークンが不要となるという話でした。

自身が作ろうとしているものがすでに世の中にある何かで代替できないのか、そもそもそういったものがないのかはしっかりと調べたうえで実装計画を立てる必要がありますよね。

源内の現状

マルチテナントの設計の話の中で「18 万人規模への提供を予定している」という話がありました。
そういった話を聞いて、源内の今後の展望が気になったので、調べてみました!

執筆時点(2026年6月30日)の 1 か月前くらいに「ガバメントAI源内の展開状況」という資料が公開されています。
参考:全府省庁の約18万人の政府職員を対象としたガバメントAI(源内)の大規模実証を開始しました

2026年5月時点で、すでに約 10 万人の政府職員向けに環境が提供されているようで、6 月から残りの 8 万人に対しての公開が進んでいると記載されていました。
令和 8 年を試験的利用および大規模実証事業のフェーズと定義しており、その中で機能強化や各企業から提供されているモデルの試用などが行われるそうです。

資料内では源内の UI のキャプチャがいくつかあったのですが、AI スキルセットの公開に関するニュースが見れたり、おすすめのアプリが表示されていたりなどかなり利用者に易しいつくりになっている印象でした!


出典:(参考資料)ガバメントAI源内の展開状況

出典:(参考資料)ガバメントAI源内の展開状況

管理者側の画面も非常に見やすい印象です。

出典:(参考資料)ガバメントAI源内の展開状況

資料内では提供されているアプリの一覧も記載されているのですが、「画像のALT(代替テキスト)作成」「マークダウン形式の表に変換」(Excelなどのデータから変換)などの細かな実務支援アプリから、「行政文書の用例を調査・検索」するアプリなど様々提供しているようです。
ただAI を利用できる環境を提供するだけでなく、「どう使うか」までを想定して様々なアプリが提供されていて、非常に素晴らしいなと感じました。

そのほか様々な情報がデジタル庁側から提供されているので、この機会にぜひ色々見てみてください!

まとめ

本記事では、AWS Summit で実施された源内関連のセッションについてご紹介いたしました。
この記事でご紹介しきれなかった内容もたくさんございますので、ぜひアーカイブ動画を見てみてください!

フクナガ

2025 Japan AWS Ambassadors / Google Cloud Partner Top Engineer 2026 / Google Cloud Partner Top Engineer 2025 / 2024 Japan AWS Top Engineers 選出されました! 生成 AI 多めで発信していますが、CI/CDやIaCへの関心も高いです。休日はベースを弾いてます。

X (Twitter) をフォローする

テックブログ新着情報の他
AWSやGoogle Cloudに関する
お役立ち情報を配信中!

Recommends

こちらもおすすめ

X (Twitter) をフォローする

テックブログ新着情報の他
AWSやGoogle Cloudに関する
お役立ち情報を配信中!

Special Topics

注目記事はこちら